第30話

♡♡♡♡♡♡



ライの手がかりを見つけられず、メロウはコイルと共に彼の研究室へと戻っていた。




「闇魔法なんて"君達"に簡単に隠せるものじゃないと思ってたけど……」




「………………」




険しい表情で押し黙るメロウの向かいにコイルが腰を下ろす。




「シュンくんはまだ目を覚まさないみたい」




「……でも命に別状はないんですよね?発見から半日以上経っていますが、呪いの類も発動していないですか?」




「ないみたいだね。遅効系のものでもそろそろ体に影響が出始める頃だけど…彼の火の特性が関係してるのかな?」




首を傾げるコイルにメロウがキッパリと返す。




「それは関係ないですよ、闇に対抗出来るのは僕らの持つ光だけです」




「逆に君達に対抗出来るのも闇だけってことだよね?」




「?それはどういう意味ですか?」



メロウの問にコイルは普段気にすることもない長い髪の毛先を弄りながら、その視線をわざとメロウから外す。




「いや…闇魔法の痕跡を君とマリーちゃんが見つけられないとなると、そもそもこの件に黒魔導士は関わっていない可能性の方が高いと思うのは僕だけかな…?」




「コイル先輩…ハッキリ言ってください」



メロウは既にコイルが言わんとしようとしていることは分かっていた。



メロウ自身もコイルと同じことを考えていたからだ。



「シュンくんを戦闘不能にさせることが出来て、かつ、闇魔法の様に痕跡を残すことがない魔力の持ち主は君達光魔法の使い手だけだ。ライちゃんを攫ったとしても光魔法なら聖女か黒魔導士でしか察知出来ない。僕みたいな無能な人間なら尚更だ、魔力の感知も出来ない側からしたら話題に"黒魔導士"なんてキーワードが出てきたら必然的にそこと繋げてしまうもんね」



「……………」




「個人的には君達が演技をしている様には見えなかったけど…黒魔導士の関与が見込めない以上、ここまで完璧にライちゃんを隠せるのは実力的にも君達のどちらかしかいないんだ」




「なるほど」




「"君達"が結託しているのだとしたら、もう僕達にはどうしようも出来ないけど…そうじゃないなら……」



コイルが試すような視線をメロウへと向けた時、メロウはコイルの言葉を遮る形で口を開いた。



「マリー・マリアンヌ。アイツしかいません」



「それを僕に証明する方法は?」



「証明?」



首を傾げるメロウに、コイルは真剣な表情からいつもの茶化すような笑顔へと戻る。



「君がマリーちゃんの共犯者じゃないってことの証明だよ、裏切られて僕まで失踪したら残された僕の家族があまりにも不憫だ!」



「それは"僕のライ"を見付けだすしか証明のしようがないですね」



("僕のライ"ね…)




メロウの強い瞳にコイルは諦めのため息をついて目を伏せた。



その視線を落とした先には、ライに勉強を教えた時に使ったテキストが中途半端に開かれた状態だった。

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