第13話

ミクを気遣って暫く休んでいたが、安息が長く続く事は無かった。


「!!魔獣の匂いっ!!」

ミクは急に不安そうな顔をするが、一転して、

「こっちの方から…っ!!マオっ!!早く行かなきゃ!!」

と、マオの手をぐいっと引っ張って険しい草の中へ…。

「ちょっ…ミクっ!!いてててっ;」

どんどん進んでいくミクに引かれているので、庇いきれないマオの腕や足に切り傷が増えていく。


「…。」

無言で進むミクに、

「ミクっ!!腕離せって!!!」

と、ミクの手を振りきるマオ。

「マオっ!!」

くるりと振り向いたミクの体中にも、草木で切った傷がついていた。


「待てって!!俺が前行くから…。どっちに行けばいい?」

ふわりとミクの頭を撫でると、マオは剣を構える。

「あ…うん。こっち…。」

ミクが、素直に言う事を聞くと、マオは草木を刈るように道を進んで行ったのだ。




「もう…平気?」

あれから二人はかなり道を進んでいた。

「ん…多分…。」

ミクは気配を探ると、今までの緊張が解けたようにその場にへたり込んだ。


「しっかし…ミク魔獣が居るのわかるんだ…すげぇっ!!」

マオも木陰に座り込む。

「ん?気配探るのは…飼われてた時のクセ…。」

と、ミクは少し申し訳なさそうにマオに告げる。


「悪ぃ;」

「ううんっ!!あっマオの気配は…何か、知ってる様な知らないような…不思議な感じだったから…確かめに行ったんだ!!」

すぐに謝るマオを制して、ミクはそんな事を言った。

「…そっか…。マオの片方の親は人間だからかな?!」

「うん。…覚えてないけど。ってマオ!!傷だらけっ!!」

神妙な雰囲気を消す様にミクは薬草を取り出す。

「っつーかミク、お前もヒドイ傷だって;」

渡された薬草を絞り、ミクの顔に塗りつけてやる。

「痛い~っっ(泣)」

流石に沁みるらしく、大騒ぎをしている。

「っ!!マジ、この薬草治療は痛いっ(泣)」

マオも痛みに耐えながら、暫くこの場所で治療をしていた。

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