第2話
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三月の終わり
今回こそは涙を堪えて久司を送りだした敦希だったが、
新学期を迎えても…その表情は曇りがち。
女の子からのお誘いも、友人のお誘いも、気分が乗らないまま着いては行くのだが…
その心の中にはぽっかりと穴が開いたまま。
周囲の話半分のままで一か月が過ぎ去ってしまったみたいだ。
「あー…なんっかつまんない…」
コータと久司…
どちらも大事な先輩で、友人で……
同級生の奴等と居るより、全然楽しくて……。
「…ケーキ、食いに行くか…」
久司の居ない店だけど、
唯一…久司を感じられる場所だから……。
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「あっ!!敦希君ッッ!!いらっしゃい。久々だね。」
「…ぅす…ちわ…」
店に入れば甘い香りに包まれ、いつもと何一つ変わらない日常だと気付かされる。
…久司が居ないだけで……。
と。
「あっ!!キターッッ!!!」
「ん?」
店の片隅から、見知らぬ男性が大声を上げて敦希の元へ猛ダッシュしてくるではないかっ!!!
「君ッッ君君ッッ!!やっと再会出来たッッ!!」
「Σなっ?!」
凄い勢いの男は、勢いそのままに鼻息荒く敦希の手を掴み、ブンブンと振り回す。
「Σ敦希の知り合いか?!」
「違っ!!」
一緒に連れて来た友人が、目を白黒させながら…敦希と男を見比べると、
それを見兼ねた的場兄が、やれやれ…と言った感じで、その間に入ってきた。
「溝口、それじゃ只の変態ですよ~。」
「へっ…変態っ?!…あ…あぁぁぁぁっっ!!!ゴメンゴメンっっ!!!悪気があった訳じゃ…」
「…………手、離して下さい…。」
アワアワとその場で一人慌る『溝口さん』
挙動不審な彼との出会いが…敦希の世界を広げるなんて…その時は夢にも思わなかった。
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