第36話 マーガレットのリクエスト
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ラジオネーム「マーガレット」
リクエスト曲「雪男のカリスマキシマムをお願いします」
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「これだけ?」
真壁が眉をひそめる。
「うん」
優吾は紙から目を離し、天井を見上げた。
「マーガレットってあれだろ? 優吾のライバルの」
「まあ、ライバル……こっちが勝手に思っているだけだけどね」
ふと、ホールのライトに照らされたマーガレットの金髪と青い瞳が、脳裏に浮かぶ。
「何のライバルなんですか?」
メーガンが横から尋ねる。
「ああ、ラジオのね――」
優吾が答えようとしたら、突然メーガンが大声を出した。
「先輩、まだ書いてありますよ。ほら、紙の端っこの方!」
「え?」
優吾がリクエスト用紙を目一杯広げると、メーガンの言う通り、隅っこに走り書きのような文字が見えた。
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この間はありがとう。これからも投稿続けようね。
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「ありがとう……? 先輩何かしたんですか?」
「え、まあ……何というか」
真壁も身を乗り出して、話に割り込んでくる。
「俺も知らない! 教えろよ、優吾!」
メーガンと真壁に迫られて、優吾は仕方なく口を開いた。
☆★☆
「――というわけだよ」
優吾は公開収録のときの出来事を、ところどころ言葉を選びながら話した。
「おお! かっけえな、優吾」
「それは……まさにyouthful days じゃないですか!」
メーガンも両手を組んで嬉しそうだった。
「いや、それがさ……マーガレット、うちの学校にいないんだよ」
優吾が眉間に皺を寄せながら、首を傾げる。
「何言ってんだよ、リクエストが届いているんだからうちの学校の生徒に間違いないだろうよ」
「ですです!」
優吾は動じず、顔を横に振った。
「僕もあの日以降、ずっと学校内でマーガレットを探している。だけど、全く見つからないんだ」
「先輩の話だと、マーガレットは金髪で青い目をしているんですよね」
「ああ」
「見間違いとかじゃねぇの? 茶髪が光って見えたとか」
真壁の言葉に、再度優吾が首を横に振る。
「僕は至近距離でマーガレットを見たんだ。間違いない。金髪だった」
「OK! I got it!」
突然メーガンが流暢な英語とともに、人差し指をまっすぐ優吾に突き出した。
優吾も真壁も神野も、ビクッと肩を震わせた。
「マーガレット、大捜索作戦開始です! 四人で力を合わせて、マーガレットを見つけ出しましょう!」
「はぁ?」
「はぁじゃありません! そこは、おー! です!」
真壁の気のない声を、メーガンが手の動きを付け足して注意する。
「マーガレット、見つけるぞー!」
「おー!」
「声が小さいぞ!」
「おー!」
「神野先輩も!」
「えっ? ……おー」
メーガンを中心として、四人の声が、狭い部室の天井に跳ね返った。
優吾はもう一度、リクエスト用紙の端に書かれた文字を見つめていた。
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