第30話

脱衣室の扉を開け、辺りを伺っているのである。



変質者が変質者を警戒しているのだ。



どうして自分が変質者だという考えに至らないのだろうか?



「なんだ、誰もいねえじゃん。凛ちゃんなに見たの?」



あなたですよ、あなた。

他に誰がいるんですか?



そんな事はもちろん言えるはずもない。



下手な事言ってぶっ刺されたらひとたまりもない。



だからこそすいません、と小さく呟いていた。



兎に角だ。

彼の身体を見なければいいのだ。



そうだそうだ。

そうしよう。

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