第17話

曇った灰色の瞳には本当にこれがあたしなのかという姿が小さく写っており。



ふーっ、ふーっ、と興奮したように身を守ることで手一杯のあたしを見上げて、



「ま、死にたくはねえよなあ…。」



ゆるりと形のいい唇に弧を描き、あたしの頰を辿るのだ。



その熱にビクつきながらナイフの柄を力強く握りしめていれば、



「でもいいの?お前、俺と同じになる気?」



なんて問いには身体が固まった。



同じって、なに?



そんな疑問で一瞬の隙ができたらしい。

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