第10話

あたしの心臓はバクバクと、ものすごい速さで暴走する音を響かせてきたけれど。



時間が経てばそれらはゆっくりと確かにいつもの音に戻る。



「はあ……っ。」



大きくため息を吐き出し、理解が未だ追いつかない身体の重さだけを感じて。



垣間見たあの光景がまるで現実なのかも判断がつかないまま。



あたしは濡れた身体を温めようと浴室に行っていたのだ。



人間、自分のキャパを超えるようなものを見てしまうと無意識にその記憶を消してしまうものなのか。



それとも自分が見たものすら信じられず、どこか異世界にでも迷い込んだ気分で日常に戻ってしまえるのか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る