第6話

空っぽの大切な人の形に手を合わせるモノとは違うような気がするのだ。



そんなどんよりと憂鬱で、わずかな恐怖心を飲み込みながら。



あたしはなんとか葬儀を終え、挨拶を交わして帰路をたどっていたのだ。



「やっと終わった……。」



この歳になるまで幾度か葬儀というものには出てきたけれど、どうにも慣れない。



慣れるもの、とは言わないのだろうけれど。



あたしだったら自分がそこにいないのに身近な人があたしではないあたしに涙を流されるなんてごめんだと思う。



幽霊とか不可思議なものを信じているかと問われると、いえす。

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