第38話 新しい玩具
「ふう……一仕事が終わった後の休憩で、苦悶に歪む女の子達を眺めるのは格別ですなぁ……」
その場の勢いとはいえ、『アクニンダン』の首領――『ボス』に不意打ちという形ではあるが、下剋上を果たしてしまった僕。
『ボス』を『シャドウ』さんにガチガチに拘束した状態で、『調整』用のカプセルに突っ込んだ後。僕は急いで、次の行動に移った。
『ボス』が他の幹部達にどう思われているのかは、交流の少なかった僕の知る由もないのことだが、あの『ボス』が自ら勧誘したメンバーだ。
ウィッチのように恐怖で従っていれば良いのだが、そうではないだろう。もしもそうなら、とっくの昔に離反して『ボス』の怒りに触れて、この世にはいないはずであるからだ。
つまり、僕を除いた幹部達は『ボス』に悪感情を抱いている者はいないということになる。まだ利用価値がある為『ボス』は始末していないが、トップが不在になったことで我こそはと組織を乗っ取ろうとする者がいるかもしれない。
『ボス』に心酔している幹部から襲撃を受ける可能性もある。
アマテラスを迎える準備が整っていない内に、死ぬ訳にもいかない。という訳で、『生体改造』を施した高性能ボディの試運転も兼ねて、先手を打って他の幹部達を襲撃。
他の『試作品』達の援護もあり、驚く程に順調に捕獲することができた。
今は『ボス』の近くのカプセルで、仲良く『調整』中である。
反逆の可能性がある幹部達の無力化という、『アクニンダン』の新首領としての初仕事は無事に終わった。
今は増設したラボで、新しく『試作品』の仲間入りをした元幹部達の様々な表情や悲鳴を肴にして、茶をしばいていた。
しかし、次は何をするべきだろうか。絶対に安全とは言えないが、『ボス』と幹部達はこうして拘束している。少なくとも、背後から刺されて夢半ばにして第二の人生が終わることはないはず。
組織内の不安の芽は摘んだ。だとすれば、フィナーレを彩る為の準備。その第一段階に取りかかるとしよう。
自業自得とはいえ、ほぼワンオペ『アクニンダン』を運営することになってしまったのだ。『調整』の次いでに、『ボス』の記憶を見ておかないと。
始めは興味の素振りもなかった『ボス』が何故突然に、アマテラスに興味を持ち始めた理由。『ボス』が語っていた、幹部達すら把握していなかった『アクニンダン』の真の目的。そして、『ボス』の過去。
成り行きで新しい首領となってしまったが、僕には知らないことが多すぎる。その問題も、『ボス』の記憶を読み解けば解決するだろう。
それに――。
「――アマテラスを曇らせるのに使える何かがあるかもしれないからね」
あの『ボス』がアマテラスに執着した理由。当然、僕が彼女を殺すようなことをする訳はないが、『ボス』が行う予定であった計画には参考になる部分は必ずあるはずだ。
先日のウィッチの件で見たアマテラスの姿からは、少し前まで絶望に染まっていたとは思えない程に凛々しく、正義のヒロイン然としていた。
新しい魔法の力にも覚醒し、一ファンとしても嬉しかったのだが、今のアマテラスを曇らせるとなると生半可な手段は通用しそうにない。
それができそうであったウィッチも、あっさりと僕の『生体改造』の支配下から解放させられてしまった。その一連の流れは本当に素晴しく、新しい
新しい玩具で思い出した。ウィッチでは、あまりアマテラスの新たな力を拝見することはできなかったので、彼女の新鮮な曇った表情を見る為に、
「――じゃあ、休憩は終了。いっぱい良い声で鳴いてよね。ダイヤモンド・ダスト?」
そう僕は、『ボス』や幹部達とは離れた場所に配置されたカプセルの内部にいる少女に声をかけた。
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