第21話

お母さんは定期検診に一度も行っていなかった。






お父さんは鬱状態だし、もし定期検診に行ってまたお母さんが入院ってなったら私が大変になるって思ったから行ってなかったのかな…?






ほんと…


誰を恨んだらいいのか分からなかった。





私が定期検診に行っていないことに気付いて行くように言えばよかったのに...



どうして私は人のことをちゃんと見たり思いやりをもつことが出来なかったんだろう



人に頼ってばかりで流されてばかりでどうしようもないな私...



そんなことを考えてももう後の祭りだ...








再発と聞いてもお母さんは私の前では暗い顔をしなかった。





また頑張ろうってかんじで放射線治療や辛い治療にも耐えた。






でも…残酷なことに今度はどんな治療を受けても良くなることはなく、少しずつ悪化していった。





そんな中、隣の病室のおばさんと仲良くなったのかよく話をしていたらしくて、それが心の支えのひとつだったと思う。






自分の体の状態に近い人で気持ちを分かってくれる人だったんじゃないかな。




私達がお見舞いに行ったときにその人の話が出ることがたまにあった。





それなのに...









ある日その人が亡くなった。






そのひとつの心の支えも奪ってしまうなんて…











そのときお母さんは何を思っただろう。






辛いって言葉で言い表せないくらいの思いをしたよね。





どうしてこんなに苦しい思いばかりさせるのだろう……







頑張って良くなって家に帰りたいって毎日毎日必死に辛い治療に立ち向かっているのに。







お母さんが何をしたっていうの…









癌の進行が止まることはなく…体がむくんだり、肌が黄色くなったり、癌が色んな場所に転移してしまったり…







もう…


息をすることさえ苦しくなってしまった。

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