第2話

わたしは部屋に戻って,ふぅと息をついた。

さっき言われたことが信じられなくてまだ,心臓がバクバク言ってる。

「これで…奏に追いつけるかな…」

そっと写真縦に目を写す。

わたしと奏。あと2人とピースをして笑っているこの写真。

昔から,わたしは奏に負けっぱなしだった。勉強も,運動も,みんなとの仲の良さも。

わたしはシャッとカーテンを開けた。

ベランダに出ると,びっくりするほど大きな月が,わたしの横顔を照らし出した。

わたしは月に片手をかざす。そっか…今日…スーパームーンなんだ…

「あの日も…こんな月だったな」

あれれ?なんか,しんみりした気分になっちゃった。

おかしいな?なんで月なんか見てしんみりしちゃってるんだろ。

でも,この気持ち…なんか…大事な記憶を封印しちゃってるのかな?なんか無性に,懐かしいんだ。

わたしは部屋に戻って,ベットに寝転がった。

ボフッ。

「もう…ねむろう…」

そう言ってわたしは,眠りの沼に落ちていった。


「国王さま。神の子は,未だ見つからないのですか?」

玉座のまで,俺・奏は国王さまに問いかける。

「奏。大体の見通しはついたのだ。だが,それをお前に言っていいのかがわからなくてな」

国王さまの言葉が,連続で俺の胸に刺さった気がした。俺は唇を強く噛み締める。

信用されてない…か。

「国王さま。闇1族のものの情報がつかめました」

ふいに横から出てきた俺の兄・音音おとね兄が,国王さまに膝をついた。

音音兄は,俺の兄ちゃん。確か今の今まで,闇1族のことを探ってたんだ。

「うむ。音音。何が見つかったか?」

国王さまの問いかけに,音音兄は指を2の形にした。

「2つ分かったことがありました。まず,1つ目です」

音音兄は冷静に話している。

「1つ目は,闇1族の総大将が,真美さまの通う星野王立学園に潜んでいるということです」

「なんだとっ!?」

思わず声を上げてしまった俺の他にも,国王さまの眉もぴくりとはねた。

「俺はおそらく,闇1族の総大将は,1番の厄介者である真美さまを倒したがっているのだと推測します。そして,術をお使いになられる真美さまの近くには,神の子もいると思います」

そして音音兄は,2つ目の指を折り曲げた。

「2つ目は,闇1族には階級があることです」

「階級?」

「はい。闇1族の総大将。そして,そこの2番目に偉いものたちは,人の姿をとっています。そして,それ以下のものは,動物や,他のものの姿をとっています」

説明を終了したのか,音音兄は国王さまに跪いた。

「これで以上になります」

「2人とも,今日は戻りなさい。奏。明日から,神の子が誰なのかを探り,何かあった時・真美を守りなさい」

「はい」

そう言って俺たちは,部屋を出た。

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