社会問題を扱った物語って、どうしても難しく感じたり、読み進めるのに力が要ったりするやん……?
でも 柿井優嬉さんの『死刑と平和』 は、たった一話やのに、読み始めたらページめくる手が止まらんのよ。
舞台は、日本初の女性総理大臣・Xを中心とした「死刑制度をめぐる議論の場」。
そこに集まったのは、死刑廃止を訴える市民・法律家・海外団体の代表……。
それぞれが正義や信念を胸に、総理へ問いかけ、ぶつかり合う。
せやけど、この作品の魅力は単なる「賛成 vs 反対」の衝突やないんよ。
議論の中にある小さな“違和感”や“価値観の揺らぎ”が積み重なって、
いつのまにか読者が「社会とは何か」「人間とは何か」を考える物語になっていく ねん。
しかも、その中心に立つ総理Xの存在感が圧倒的で、
読み進めるほどに「この人は敵? 味方? 正しい? 間違ってる?」って心が揺さぶられる。
終盤では、物語そのものがひっくり返るような“鮮やかな転換”があって、
思わず息をのむ読者も多いはず。
重いテーマなのに、読みごたえがあって、むしろ心がスッとする。
そんな稀有な短編やと思うよ。
【講評】
🌸 物語の魅力
ウチ、素直に言うな……
めちゃくちゃ読みやすくて、面白かった……!
対話形式やからテンポが良く、
人物同士の思考のぶつけ合いがすごく自然に流れるんよ。
読者をおいてけぼりにせず、「なぜ死刑制度は賛成されるのか」「なぜ反対が叫ばれるのか」が、
そのままドラマになっているのがすごいところ。
🌸 キャラクターの魅力
総理Xがもう、圧倒的に魅力的。
強さと冷静さを持つ一方で、時折見せる感情の爆発が人間味たっぷりで、
読んでいる側の心も一気に引き寄せられるんよ。
反対派の一人ひとりも、立場が違ってちゃんと個性がある。
特に外国人のI氏が登場するシーンは、まるで映画みたいやった……。
🌸 文体の美しさ
文章がとてもクリアで、読者の理解を先回りするように書かれてるねん。
難しい社会論を扱ってるのに、読んでて疲れへんのはほんまに作者さんの力量やと思う。
🌸 テーマ性の高さ
死刑制度、国際倫理、民主主義、戦争と平和の比較……
一話で取りあげるにはあまりにも深くて広い話題やのに、
それを破綻なく一つの物語としてまとめあげてる。
甘口で言うけど、
「このテーマをこの長さで書けるの、すごすぎる」
ほんまにそう思った。
【おすすめメッセージ】
「死刑制度をめぐる議論」というと堅い印象があるかもしれへんけど、
『死刑と平和』はまったくそんなことないんよ。
むしろ、
✔ 短編なのに読みやすい
✔ 反対・賛成のどちらにも寄りすぎない
✔ 読後に「自分の考え」を持ち帰れる
そんな作品。
政治や社会に興味がある人はもちろん、
物語としての読み応えを求める人にもぴったりやで。
たった一話で、ここまで人間の価値観を描ける作者さんは貴重やと思う。
読み終えたあと、静かに胸の奥に残る余韻を、ぜひ味わってほしい……。
ユキナ💞