第3篇 崩壊1

151


世界から音が消えた中。みんな思い思いに走り回り、見上げる力のない私には楽しそうとしか見えず。



152


誰かが私の腕を掴んで引っ張って数秒後には瓦礫の山。ありがとう、腕しか知らない親切な人。



153


よろめいて、それでも一歩足を出す。一歩一歩が重くなる。帰ってくるな私の痛み。



154


説明を求める私の理性が吠えて、けれど誰にも届かない。首をひねりながら逃げ惑う喜劇は客席から見たい。



155


嵐なら、地震なら、理不尽だけど理解はできる。ビルからぬっと顔を出す理解できない理不尽はたちが悪いと思い知る。



156


目を閉じてその場で足を止めている。楽しかった記憶の世界に飛び込めば誰かと笑い合いながらいつの間にか消えているはず。



157


耳に響く轟音が私の意識を吊り上げる。突き刺さった釣り針を引き抜く痛みに苦しむ必要があるのかと叫びたい。



158


ありふれた日常なんて幻想だと知ってからまだ数分。湧き上がるのは心臓をかき鳴らした鎮魂歌。



159


何かが飛んでくるのが見えて、そこまで耐えた私の心を今はただねぎらってもらいたい。



160


静寂さの中、聞き覚えのある声を耳にして目を覚ます。目の前に広がるのはあのソラ。



#詩 #短歌 #twnovel #天に瞬く光となって

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