病室を出る

「これからどうしようね」

 私たち五人は心海の病室を出て歩き出した。

「そう言えばさ、私たちのこと覚えてたかな…?」

 そう言ったのはしっかり者で優しい『久喜影(くきえい)』ちゃんだ。さっき猫になった理由を探しに行こうと最初に言ってくれた子だ。

「覚えてるんじゃない?」

 こう言うのは面白くちょっと不思議なことを言ったりするけど優しい『九条魈(くじょうしょう)』くんだ。

「それは言い切れなくない?頭打ったって言ってたじゃん…。」

 この子は頼りになって優しい『宵宮沙羅(よいみやさら)』ちゃんだ。

「まあ、猫だったのが結構驚いたけど…。そう言えば、魈(しょう)ってネコアレルギーだったと思うけど大丈夫?」

 こう言うのは魈くんと仲が良く、真面目で優しい『楓原眞(かえではらまこと)』くんだ。

「うん。なんとかなってるから大丈夫だよ。」

 と魈くんは答えた。

「それはよかったね。」

 と言ったのは猫を家で飼っている『流星万葉(ながれぼしかずは)』くんだ。変わり者でやんちゃなところがあるけど、結構良い人だ。

「それはいいけど、本当にあのネコはここみちゃんなの?」

 と沙羅(さら)ちゃんが言い、それに乗っかり万葉(かずは)くんも同じように、

「たしかに…本当なのか…?」

 と言った。

「そんなことでここみちゃんのお母さんが嘘つくわけないじゃん。」

 と影(えい)ちゃんは二人の声の何倍も大きな声で言った。四人は影ちゃんがこんなに感情的になることは初めてだったのでびっくりしていた。それを言われて二人は、

「こんなこと言ってごめんね…。」

 と謝った。少し空気が重くなった。このことに残りの二人は、

「もう今日はここまでにして帰ろ!」

「あーでもカラオケとか行かない?」

「いいね!行こ!」

 と言って場を盛り上げた。

「みんなで行こうぜ!」

 と二人はキラキラとした目で言った。

「いいよ。行こ。」

 と他の三人は言い、

「さっきは言いすぎてごめんね。」

 と影ちゃんはそう沙羅ちゃんと万葉くんに言った。

「いや、こっちこそごめんね。」

「ごめん。」

 と二人は影ちゃんに言い仲直りをした。

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猫と私 綺良々 @mo-215

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