第2話



「えっと、このスマホを拾った者ですが」



『……は?何だそれ』




何だと言われましても、そのままの意味ですが。



確かに突然予想外の人間が電話に出たら驚くよね。私もそこは同感だけれども。



まぁ随分と親しそうだから、話が早く済みそうでよかった。



「公園の前に落ちてて、拾ったんですけど持ち主はわかんないし困ってたんです」



『うーわ、マジかよ。じゃあこの怒りは誰にぶつけたらいい?』



「……え?」



『だからさ、俺今怒ってんの』



「あ、えっと、ラーメン…?」



『俺は今日はあれ食べるって3日前から決めてたんだよ。ラーメンは狙われやすいからちゃんと裏に名前も書いたし、奥の方に置いてたんだよ!自分で買って来いよ!スマホ落とすとかバチが当たったんだな。ざまぁみろ!』




あぁ、耳が痛い。



「私に言われても困る」



『ハルの携帯拾ったんだから仕方ねえよ。お前以外に言う相手いねえし』



「ラーメンって、カップ麺?」



『おう』



「じゃあ新しいの買って食べなよ。それに名前書くなら裏じゃなくて、もっと見えるとこに書かなきゃ」



『……あぁ、確かに裏は目立たねえな。盲点だった』




とんでもない馬鹿から電話がかかってきてしまったものだ。




「ね?だからもう怒らないで」



『今回だけは許してやるか。仕方ねえな、新しいの買ってくるわ』



「いや、その前にこのスマホ何とかしてよ!」



『デカい声出すなよ』



そっくりそのままお返しますが。




「もう置いていっていい?」



『ダメに決まってんだろ。あー、わりぃけど俺たちこれから用事あるから、しばらく持っててくれ。明日取りに行かせるから』



「いや、交番に届けておくから、都合の良い時に取りに行くように伝えて」



『じゃ、公園前に17時集合ってことで』



「うん、えっ?話聞いてた?」



私の返事はしっかり無視され、一方的に通話が切られてしまった。






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