第16話~義理の妹、飛鳥~


朝、学校へ行こうと用意をしていると、義理の妹、飛鳥に話しかけられた。

「桐流さん。少し話そ」

「どうした?飛鳥さん」

「…ここでは話しづらいから、学校へ行きながら話そ。私今日から通うの!。手続きに時間がかかっちゃったから」

なんで、ここでは話せないんだ?というか…学校…

「…なぁ苗字は何で通うんだ?」

「…?もちろん黒瀬ですけど?」

「………!!」

かわいい義理の妹(仮)が俺と同じ苗字…これはなんで言わなかったんだってなるぞ!?

もうかばってくれる…というかおちゃらけて雰囲気ぶち壊す尊もいないし…やばい…!!

それを見た飛鳥さんがいやらしい顔をして

「早く用意していこ!…お義兄ちゃん」

「…やめろ…絶対に学校でそう呼ぶな」

「どうしたの?お義兄ちゃん?私のことは飛鳥って呼んでね」

「…ちっ。飛鳥、俺のこと絶対に学校でそう呼ぶな」

「……考えておくね!」

絶対に考えないタイプだ…尊と同じタイプだ…!!

「で、飛鳥。話ってなんだ?」

「それはね…」

そういって、ケータイの画面を突き付けてきた。

そこには、頬が少し赤くなった俺が写っている写真だった。

「……」

「この写真の意味わかる?」

「……わかんない」

必死でごまかすことにした。

暗殺者なことがばれるとやばいから…!!

「じゃあこの写真の時刻は?」

「…知らないって!違う人なんじゃない?」

というか…なんで…この写真の時刻…10時くらいだと思うんだけど…

「…そう。違う人かぁ…しっかり顔まで写ってるんだけどなぁ…」

「……俺は関係ないし、知らない」

さすがに『殺し』をしてたことがばれたら…

「そうかぁ…この写真お母さんが撮ったんだよね。夜の路地裏を家じゃない方向に向かって歩く、お義兄ちゃんの写真。なんでそんなところ歩いてたのか知りたいんだ」

どうしよう……あっ!ふへ~いいこと思いついた!

「……わかったよ。そこの近くに、同じ学年の知り合いがいてね、俺数学得意だから教えに行ってたんだ」

…俺の特技を使った嘘!

「…ふ~ん。じゃあこれからも遅くなるの?」

「…まぁね…できるだけ早く帰ってこようとは思うけど…」

「わかった。お母さんにはそう伝えとくね。これお母さんに言われて聞いたんだっ!じゃあこれからよろしくね。…暗殺者のお義兄ちゃん」

そういって早足に学校へ向かった。

そして俺は考えた

最後に飛鳥がつぶやいた言葉のことを


『暗殺者のお義兄ちゃん』


なんで…なんで…飛鳥は……俺が暗殺者なことを知ってるんだ…?

……友達、家族の中では……尊に死ぬ前に言っただけなのに……


そこまで考えてから、師匠の言葉を思い出した


『…この世の中にはね、異能力者という異能を持った人たちがいるんだ。その人たちは、隠したり、おおっぴらに使ったり、人によって違うんだよ。

そして…その人たちは、自分の異能が生かせる職場につく。治癒系の異能だったら、治癒師か医者らへん。攻撃系、隠滅系、防御系は暗殺者。あきらめたやつが殺し。

っていう感じで、似たような異能はあっても、同じ異能は世界に存在しないんだ』


「…考えすぎか」

少し前に家族になった義妹が、世界にそんなにいない異能力者のわけないもんな。


俺も早足で学校に続く急な坂道を上った


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