第14話~今回のターゲット~

「桐流くん。今日、今から任務、行ってくれないかな?」

「…いいですけど?」

突然?

「本当はね、僕が行くつもりだったんだけど、この案件は桐流くんにまかせたほうがいいかなって思って、僕の独断で桐流くんに行ってもらうことになりました。」

「…それって大丈夫なんですか?」

「たぶん。ターゲットはここから自転車で10分の明後日から取り壊しが行われるが行われる、倉庫にいるよ。ターゲットは僕を殺しに来る、殺し屋だって。」

「わかりました。師匠が殺されるのは嫌ですから」

「…僕が行っても死なないんだけどな~桐流くんひどくない?」

「ひどくありません。じゃあ行ってきます」

前回使った拳銃とスタンガンだけを持って。


廃倉庫へ行くと人が入ってくのが見えた。

ついて行ってみると、ターゲットは中で拳銃の用意をしていた。

そしてターゲットが持っていた発砲させた。


パァン


俺は壁に隠れていたから当たらなかったけど、隠れていた壁に弾丸が当たって崩れた。

そして、聞き覚えのある声で

「誰だ?」

と、問われた。この声は

「……み…尊…?」

ついさっきまで一緒に話してた、尊の声だった。

それには相手も驚き

「……え?」

そして夕日が当たる場所に来て顔が見えた。

それは、黒い服を着てたけど、まぎれもない、俺の1人の友達、高坂尊だった

「…桐流…なんでここに?肝試し?…にはまだ早いし…」

「……尊こそなんでいるの?しかも……拳銃なんかもって」

「…っ」

尊は悲しそうな顔をして、それから笑った。

「…ごめん、桐流。今まで殺し屋なこと、黙っててごめん。それから約束守れなくてごめん。」

その言葉に俺は目を見開き

「もしかして……尊は、殺し屋で……俺の標的(ターゲット)?」

尊は乾いた笑いを浮かべ

「あっそっか…暗殺者りう、の代わりに桐流が来たんだ…じゃあ俺は桐流を殺さないといけないんだ」

その言葉にハッとし、師匠がターゲットの名前を言わなかった理由が分かった。

……だって、名前を言ってたら俺は、この任務を受けなかったから

「尊…俺、尊を殺したくない。だからさ、尊、俺を殺してよ」

「…俺だって…桐流を殺すのは嫌だ。正直言うとさ、この仕事小学四年生からやってるんだよ。だから今まで殺した人は1000を超える。でも、桐流は最近でしょ?」

「そうだけど…なんで…?…なんで!尊は殺し屋になったの?」

「…それはね……もともと俺は桐流みたいな暗殺者を目指してたんだ。師匠は、庄崎さんって言ってね、いい師匠で俺にいろいろ教えてくれた。だけど俺は一度も勝てなかった」

「…それはっ!俺の師匠も勝てないもんだからって言ってるしっ!」

「俺はそれを四年生から二年間頑張り続けた。実戦も出してくれなかった。そして、異能力がある世界でただの凡人は、ただ埋もれて死んでいくんだって気づいたんだ。そして師匠を捨てて逃げた。その所を殺し屋に拾われた。その殺し屋はもう死んだけどね。」

「…っ」

「そして、殺し屋として殺した数も、桐流のほうが少ないはず。だから、世の中に生きてていいのは桐流のほうだ。…新しい家族もできたんだし、命、大切にしなよ。だから俺を殺して?」

「…いやだっ…いやだっ」

俺には尊を親友を殺すのは無理だっ

「駄々をこねない!」

喧嘩をするときの尊の鋭い声が響いた。

「え?」

「お前が、俺を殺さないなら、俺はこの拳銃で自分の頭を撃ち抜く!!」

…え?

尊が拳銃を自分のこめかみに向けて言った

「…それは嫌だ。だから、公平にどちらが生き残るか決めよう。尊。」

「どうやって…?」

尊は拳銃を下に向け言った

「じゃんけんだよ」

尊は驚いて

「は?」

「じゃんけんで勝った方が負けた方を撃つ。それでいい?」

「…ハハッじゃんけんか。桐流らしいな。わかった。それでいこう」


『じゃーんけーんぽん!!』


尊はパーを出して……俺はチョキを出した。

「は……」

「桐流約束どうりに、俺を撃て。」

「…わかったよ…約束だもんな」

じゃんけんで勝つ確率は約33,3%と言われている…その確率に、俺は当たってしまった。

俺は拳銃を持って尊の頭に当てた。

師匠がここが一番抵抗されないで死ぬ……一番楽に死ねる場所だって言っていたから、頭を選んだ。

そして、尊が口を開けた。

「桐流、最後に一ついいか?」

「もちろん……」

「今までこんな俺と友達でいてくれてありがとな。そしていろんな約束守れなかったな。桐流は俺がいなくても大丈夫だよな…?。そして、今まで本当にありがとな!俺の……大切な1番の親友」

それを聞いて、俺は泣いた。でも、その涙をこらえて

「俺こそ、ありがとう。アイス、ごめんね……俺の1番の親友でいてくれてありがとう。……楽に……なってね…?っまたね…!!」

さよならは言いたくなかった。もう2度と、死んでも会えないと思うから。

「あぁ。またな桐流」


パァン


ターゲットを……親友を撃つ音が、悲しく、静かに響いた。

俺はその死体を見つめて静かに泣いた。

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