第70話

「もう、あれから1ヶ月経つんだな」




いつの間にか、そんなに時間が経ってしまったのか。





「シドは通院してるみたいだ。入試には退院も間に合って、回復も順調らしい」




シドは耳を蹴られて鼓膜が破れて手術をしたらしい。


鼓膜の4分の1を欠損する大怪我だったけど、鼓膜は再生する物らしく、完治もそう遠くないらしい。


俺とは違う病院に運ばれたらしく、あれから会っていない。





「スバルさんはチーマー辞めたって。それを筆頭にみんな抜けていって、もう集会には誰も行ってないと思う」





スバル君は、実家を出たらしい。

2日に一回は見舞いに来てくれるスバル君は、実家を出て一人暮らしを始めて、毎日仕事をしている。






「レオもここを退院したらしい」


「あぁ、最後の日、会ったよ」








ーーー誰もいなくなってねぇよーーー





スバル君の言葉は、聞き逃せない程に、不安の募る言葉だった。





まるで、死んでないという言葉を避けたように、


そんな妙な表現をするから…







レオは、退院した日、俺を訪ねた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る