第43話

睨みを効かせて道を開けさせてCYBER BOXXから出て行く宮前たち。



「ありがとうございましたー!」




エルフの演奏が終わって、暗転する。




「なぁハル。俺、暗転の時いつもこえーんだ」



真っ暗になった世界で、Blessのメンツがそんな事を呟いた。



「怖い?何が?」




俺の言葉にソイツは苦笑した。




「闇討ちされたら…なんてさ。こんな暗いんだ。後ろからナイフで刺されたって、犯人は誰だか分からない」


「うわぁ、怖い事言うなよ?」



そういうソイツに、もう1人のメンツが眉根を寄せる。




「俺らは、暴力の方向には行かない。誰とも憎しみ合わない。そう決めてる。Blessはそうだろ?何も心配いらねぇよ」



俺の言葉に、メンツの1人は苦笑した。




「ハルは何気に喧嘩強いもんな。怯まないし」


「はぁ?怯むよ。顔なんて殴られたら俺降参してすぐ鏡で顔チェックするよ」


「……そんな冗談言ってられんのも、お前スバルさんの弟だからだよ。何だかんだ、守られてるじゃん、ハル」



………おいおい、んな事ねぇんだけど。むしろ色々連れ回されて、結局は野放しだし。




「それは違ぇと思うな」




返事に困ってる俺の代わりに言葉を発したのは、話を聞いていないと思っていたカイだった。





「寧ろコイツ、あんな武闘派な兄貴いて逆に顔も名前も知れ渡ってるよ。俺の上の人たちも、さっきの宮前って奴も。コイツの事名前も顔も認識してたし」





「………」


「確かに……」





メンツの2人が俯く。






「寧ろお前らの方が美味しい思いしてるよ。コイツの兄貴たちに可愛いがられて、宮前みたいな天敵は、必然的にコイツがお前らの盾になってる」

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