社会を放逐された男性が、見切り品の「おにく」として売られている女の子と出会い、世界を見て回る中でお互いに受容し合い、それぞれの「生の意味」を模索していく話です。
この小説の世界は、とても残酷な世界です。
人は価値をつけられて売られ、性欲の対象とされたり人でありながら食肉用の肉とされたりします。そうした価値から外れた「素質のないおにく」は見切り品として処分されてしまいます。
そんな残酷な世界だからこそ、価値の枠から外れた2人がお互いを受容しあい互いに生きる意味を探していく姿がとても輝いて見えました。
人身売買というヘビーなワードから始まる物語ですが、全体の語り口は柔らかく優しいもので、おとなの童話のような味わいの作品です。
ぜひ読んでみてください。
タイトルからカニバリズムの話…?と思われた方、半分正解だけども、魅力の本質はその奥に…!
舞台は、魔人・魔獣が存在しながらも、現代文明水準の世界とも交易ができるファンタジー世界。
人食肉、性奴隷の『人身売買』のみを基準とした独自通貨を持つ都市があり──と、ここまで聞くとなんだか血や生首の飛び交うダークでゴア趣味なお話のように思えてしまうかもしれません。
「あっ私グロ苦手…」ご安心を!
お話の語り口は童話調であくまで優しく、血なまぐさいシーンが直接出てくることはありません。
けれど、むしろその語り口によって世界の残酷さ、ヒロインの心情がひしひしと伝わってきます。
自分が何者なのか、何者でありたいのか。望まない運命を受け入れてしまうのか。自分の命の価値をどこに置くのか。
ヒロインと青年の交流は、そんなお互いのアイデンティティに命がけで触れるもので、だからこそ尊く、愛おしく感じられます。
定められた運命とルールの中で、健気に生きて運命を変える女の子と、無愛想なフェアリーゴッドマザーのような青年のコンビを、是非堪能していただきたい!!!