第11話 菫≪すみれ≫姫
愛姫と入れ替わりに、愛くるしい少女が部屋に入って来た。
「こんにちは、四女の菫だよ」
「あ、綾小路翔太です。初めまして」
「ね、ね、私、翔太さまのお嫁さんになりたい!」
おお、これは、意外なところからの直球のプロポーズだ。
「もちろん、今すぐってわけにはいかないけど、私、頑張ってはやく大人になるから、16歳になったら、お嫁さんにしてください!」
「そう言ってくれるのはうれしいけど、なんでまた今日会ったばかりの私に?」
「パパとママは、どうしてもお世継ぎを作らなければと思って、ママはこーれい出産だったけど、頑張って私を産んだの」
なるほど、妃殿下のご年齢や、愛姫と菫姫の年齢差を考えると、お世継ぎのための覚悟のご出産ということだったのだろう。
「それでね、どうしても男の子が欲しかったはずなのに、私が生まれちゃったの。きっとすごくがっかりしたはずなのに、でも、パパもママも、私のことすごくかわいがってくれるの」
「だから、パパとママに代わって、どうしても私がお世継ぎを産むの」
俺は思わず泣きそうになってしまった。なんという、健気な理由なんだろう!
「だから、私は、どうしても翔太さまと結婚したいの! 早く結婚すれば、もし私みたいな女の子が生まれても、男の子が生まれるまで何度でも産めるでしょ」
小学生にして見事なお覚悟というか、さすが王家の姫様というか。でも、本当にどこまで分かって言っているのだろうか。俺は彼女に問うてみた。
「菫姫様はまだ小学生でしょ。結婚とか、子供を産むとか、どういうことかわかってらっしゃいますか」
「うん、知ってるよ。冴島に教えてもらったもの。えっ、こんなことするの!って、ちょっとびっくりしちゃったけどね。大丈夫、慣れればすぐに気持ちよくなりますよって、遥さんが」
冴島さん、小学生にもストレートに教えちゃったみたいだな。恐るべし、冴島遥!
「それで、ねえ、私をお嫁さんにしてくれる?」
俺は大いに心を動かされた。決していい加減な返事は出来ないと覚悟を決めた。それに、俺は、この少女の願いを叶えてあげたいと、真剣に思ってしまった。
「うん、分かった。菫姫様、俺のお嫁さんになって、俺の子供、たくさん産んでください」
「わーい、やったー!」
かわいい! 菫姫、かわいいじゃないですか。ついついプロポーズまでしてしまったぜ。
女子小学生、最高だ!
「私、頑張って大人になるから、私が16歳になるまで待っててね。それまでにねえさまたちと結婚したらいやだよ」
「うん、分かった。約束するよ」
「でも、男の人って、生理現象?でしたくなっちゃうんでしょ」
「うん、でも、菫姫のためだ。自分の右手で我慢する」
しまった。つい、本音で、変なことを口走ってしまった。
「どうしても我慢できなくなったら、言ってね。その、遥さんに、翔太さまを手や口で満足させる方法、教えてもらうから」
「いや、いや、いや、そんな心配いらないって」
あの女なら、本当に教えるかもしれないな。
「じゃあ、おやすみなさい、翔太さま」
とんでもない方向に話が進んでしまったが、さて、俺はまず何からするべきなのだろうか。
弟陛下に「菫さんと結婚を前提にお付き合いさせてください、必ず幸せにします」って 頭を下げるのかな。
いや、その前に、まず冴島さんに相談だな。
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