第9話 冴島遥

 あの合コン、どうも話がうますぎるとは思ったが、そういうことだったのか。真昼間から星≪あかり≫姫に迫られ、這う這うの体で部屋ヘ俺は自室に戻った。

 

 今回も、星≪あかり≫姫が頭を下げて手を差し伸べるから、つい反射的に手を取って承諾してしまった。まずはセフレからって、ここで彼女とずぶずぶの関係になることは、どう考えても軽はずみに過ぎる。

 国王様たちや、瓜生さん、冴島さんにバレたらどういう展開になるのか、ここは慎重に検討してみないと…


 一方で下半身は別人格で、迫られてその気になりかかった俺の分身は、体積を増し窮屈そうにスラックスの前立てを押し上げている。

 まあ、これは生理現象なので仕方がない、一本抜いて、冷静になってから対策を考えるとしよう。俺は、ベッドに横になると、下だけ裸になり、彼女の脱ぎたての下着をティッシュ代わりに自分の一物をしごき始めた。


 もう少しというところで、チャイムが乱打された。

「冴島です、開けてください」


 なんと間の悪い、ここは居留守を使おうと声を潜めたが、

「開けないと、合い鍵で入らせてもらいますよ」


 え、合い鍵なんて持っているの? 俺はあわてて衣服を整え、ドアを開いた。


 開けるなり部屋に上がり込んできた冴島さんに、問い詰められた。


「随分とご返事が遅かったのですが、何をなさっていたのですか」

「いや、別に、何も」

「それにしてはスラックスの前がふくらんでいるようですが。それに、その、手にお持ちのものは何なんですか」

 

 しまった。つい星姫のパンティを持ってきてしまった。俺はあわてて後ろ手に持っていたものを隠した。


「な、なんでもないです。そ、それで、何か御用ですか」

「そうそう、今日はこれから、愛姫、菫姫にお会いしていただきます」


「は、はい」

「愛姫は高校三年生、菫姫はまだ小学五年生。姫様たちにはお手付き自由と申し上げましたが、さすがに二人にはご遠慮いただきたく存じます」


「当たり前でしょう、そんなことしませんよ」


「前を大きくしている人にそんなこと言われても説得力がありませんね。それ、さっさと抜いちゃってください」

 冴島さんは、俺の股間を指さしそういった。


「そうそう、ちょうど冷凍保存用にあなた様の精液を採取させていただこうと思っていたところでした。お手伝いしますのでついでに採取させてください」


「お手伝いって、もしかして、また、エッチしてくれるってこと?」

 彼女のことばに、俺の下半身がまたぞろ反応を始めた。


「まさか。釣り上げた魚にエサは要りません。手でお手伝いするだけです」

「なんだ、つまんない。それに今釣り上げた魚って言ったよね。最近、王位継承者の俺に対する扱い、ちょっと雑になってない?」


 俺の抗議を完全に無視した冴島さんは、俺に下半身裸になってベッドに横になるように言った。

 さすがに気恥ずかしくてもたもたしていたら、あっさり脱がされてしまった。


「もうこんなことになっているじゃないですか。まるで盛りのついたゴリラですわね」

 

 彼女は、どこに持っていたのか、コンドームを鎌首をもたげていた俺のものに装着し、刺激を始めた。

 自分の右手とは全く違う冴島さんの小さな手、その繊細な指使いに、俺はたまらず、早々に発射してしまった。


「あー、気持ちよかったー」

 てきぱきと採取した俺の精液を試験管に移して封をすると、下半身丸出しの情けない姿で喘ぐ俺に向かって言い放った。


「それでは、姫様たちをお通しするので、衣服を整えてください」


「え、ちょっと待って、せめてシャワーを浴びさせて!」

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