第9編 思春期
1 DM
手に取ると微かに感じる糸の端。中には思いが詰まっているけど、詰めた相手は冷たい瞳。
2 革靴
皺のない牛皮の怒り激しくて、同情するのは同類で。アスファルトは確かに硬く、おまけに今日は面接だ。
3 田舎道
背、高く並ぶ草々、風に揺れカエルが飛び出るアスファルト。線なき道をとぼとぼと。
4 雨上がり
雨降って水気弾ける空気を吸い、駆け出した足は二輪とチェーンとなって、アスファルトに轍を作り。
5 ビスケット
零れ落ちる一欠けらを拾い上げ、つぶした粉が風に舞い、砂糖や小麦粉、ショートニングに膨らし粉。世界をかじってみたくなる。
6 思春期
水の中でもがいてる。頭を出せば解決だけど、それが嫌だと息止めて必死にもがき続けてる。
7 影
ついさっきあなたが通ったこの道を、木陰の下で眺めてる。焼き付いている白い影、今度は消えないように転写中。
8 すべきこと
レールの上を歩いてる。前も後ろも地平線。左右に逸れればネオンサイン。一歩一歩踏み出すごとに深呼吸を挟みいれる。
9 やさしさ
一凛の花に降り立つ蝶と蜂。見合った後はたらふく蜜を吸い取って羽を羽ばたき消えていく。少しだけ花弁が垂れてグーサイン。
10 お前のはあっちだ
飛ばされた帽子を見つけて駆け寄ると、あなたも手を出し拾おうと。互いに世界は縦周り、帽子は静かにせせらせら。
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