第10話

彼の部屋の前から賑やかな笑い声話し声が聞こえた


まだベッドの上から動く事は出来ないが、上半身を起こし皆と雑談を出来るくらいまで回復していた


そんな微笑ましい状況が一瞬で変わる


『回復おめでとう』


ミレアはそう言いながら笑顔で彼の部屋へ飛び込んだ


すると


『わあああああー』


叫び声を上げベッドの隅で身体を小刻みに震わせながら両手でシーツを頭から被った


『殺、殺される、俺も皆んなも殺される』


その彼を見たミレアは意識が遠ざかっていた


そんな二人に見兼ねた周囲が気を遣い


『ミレアちゃん、ちょっといい』


仲間の数人が部屋の外へと誘導した


『ミレアちゃん、今から言う事をどうか聞いて欲しいの』


ミレアの目に生気が失われていた


『はいっ』


『本当に、本当に、ミレアちゃんとshi-baちゃんには皆んなすっごく、物凄く感謝してる』


『・・・・・』


『多分ミレアちゃん達が居なかったら私達は存在出来ない、いや今も守られているから生きてる、それはここに居る全員がしっかりと確実に理解してる』


『・・・』


『でもね、彼はもう放っておいて欲しいの、彼もミレアちゃんも互いにいい感じだったのは皆んな理解してる、でもね理解してあげて欲しいの』


『・・・』


『この世界の大半の人は恋をして人を好きになって告白して振られたら普通諦めるの、でも彼は初恋を忘れられず今もずっと、告白して振られても初恋の彼女の事を思い続けていたの』


『・・・』


shi-baからこの世界の中でもかなら変わっている貴重人物と聞かされている事をマジマジと彼の仲間からも聞かされる事で更に精神を病んでいく


『その彼女があんな形で再会した、勿論ミレアちゃんは間違って無いと思う、あのままなら彼女に殺されていた可能性があったから』


『・・・』


『だとしても彼の初恋の人には間違い無かった、その彼女をミレアちゃんは彼を助ける為とはいえ、彼女の首を跳ねた』


その言葉を聞いた瞬間身体をビクとさせる


そしてその時の状況がフラッシュバックで甦る


『シュンッ』

『ゴトッ』

『ドサッ』


ミレアは既に泣いていた


そして長々と話された後ミレアは静かにその場所から去った

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