ひとりは欠乏、もうひとりは過剰。
そんな二人が出会い、語り手を交代しながら育まれる恋愛模様は大人の彩り。
なお、ここでいう「大人」というのは、妖艶さを押し出しているということでも、妙にほろ苦いということでもありません。
大人になったからこそわかる自然な大人の姿が本作を通して描かれます。
語り部たる二人が魔素や魔導車や小ぶりのバハムートのいる世の中で、お互いの軛を外し、抱え、認めていきます。
魔族もいます。悪い奴もいます。いい友達もいます。いろんな人たちが居ます。
そんな中で暮らす二人の様子を追っていけば、読者たる私たちは何度も語り手たちの告白を聞くことになるでしょう。そうして、ひとつひとつ明かされていく秘密を知ることになるでしょう。
語り手たちがお互いの告白を受け止める姿こそ、大人の彩りと申し上げます。
はじめましてからのプロポーズ!? というフックと、エリィの軽快な語り口でぐいぐいとお話が前に進んでいき、最後には世界を相手取るファンタジーなお話ですごく面白かったです。
本作の魅力はなんといってもエリィの等身大な語り口でしょう! 彼女が見て、聞いて、感じたことが、彼女らしい言語でアウトプットされ、それが作中キャラだけでなく読者も笑わせたり、泣かせたりしてくれます。
悪役もサブキャラもみんな魅力的で、私は特にテオくんが好きでした。
はじめましてのプロポーズから、多くの人や世界を巻き込んで遠い所まで来たようで――でもきちんと最後は二人の話として着地する。細かく練られたハイファンタジーでありながら、等身大に人間を描ききったところがすごく魅力的でした。
初長編、お疲れ様です! おもしろかったです!!