告白を受け止める姿こそ、大人の彩りと申し上げます。

ひとりは欠乏、もうひとりは過剰。
そんな二人が出会い、語り手を交代しながら育まれる恋愛模様は大人の彩り。

なお、ここでいう「大人」というのは、妖艶さを押し出しているということでも、妙にほろ苦いということでもありません。

大人になったからこそわかる自然な大人の姿が本作を通して描かれます。
語り部たる二人が魔素や魔導車や小ぶりのバハムートのいる世の中で、お互いの軛を外し、抱え、認めていきます。

魔族もいます。悪い奴もいます。いい友達もいます。いろんな人たちが居ます。
そんな中で暮らす二人の様子を追っていけば、読者たる私たちは何度も語り手たちの告白を聞くことになるでしょう。そうして、ひとつひとつ明かされていく秘密を知ることになるでしょう。

語り手たちがお互いの告白を受け止める姿こそ、大人の彩りと申し上げます。