第72話

「信じなくてもいい。大丈夫。

俺がずっと側にいるから。」




宥めるように頭を撫でながら嗚咽を漏らす楓さんを抱きしめる




「っごめん。こんなっ、泣くつもりじゃなかったのに。」



謝ってくる楓さん。




何も悪いことなんてしていない




ずっと辛い思いを心に隠し、たった1人で耐えていた




「なんで、なんで久我くんはそんなにあたしの事気にしてくれるの?」





縋るように聞いてくる




「愛してるから。

俺が初めて本気で欲しいと思ったのがあなたなんです。

欲しいものは何でも手に入った。

でも、それは俺が望んだものじゃない。」




何でも与えられたけれど本気で欲しいと思ったのはこの手から擦り抜けていく。

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