第89話

「・・・。」




傷ついた顔で黙り込んでしまう聖夜




「仁、蓮凛帰るよ。

雨音が心配している。紫苑も待ってる。」




重たい雰囲気の中、そう告げた親父




「あ、うん。」




「ああ。」




返事をして親父の背中を追いながら出口に向かおうとした時、かすかに聞こえた言葉。




その瞬間頭に血が上り、体が動いた




「おい、てめぇなんて言った?」




言葉を発しただろう男に詰め寄り胸ぐらを掴む




蓮にも聞こえたのか踵を返し男を睨んでいる




「お前、もういっぺん言ってみろや!」




何事かと俺たちを見つめる男たち




「東條に捨てられた疫病神の能無しのくせに偉そうにしやがって。逃げた癖に、弱い癖に。てめぇなんて生きてる価値ねぇよ!」





全く知らない男から放たれた言葉は親父を批判するものだった




てめぇが親父の何を知ってるんだよ




なんで他人にそんなこと言われなきゃいけねぇんだよ

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