第31話

ふと、アレックスさんの視線が俺に向かう




「おお、響。今日はもう帰るのかい?」




「あ、いや俺もう、辞めるんです。」




そう言うと驚いた表情をする




でも、なんとなく察したのか部長をみる




「ふーん、まあ丁度いいや。

響、本社に来て一緒に働かないか?」




思ってもみなかった言葉




「え、本社?どうして。」




「響となら新しい仕事ができそうだ。

もう1人連れて行こうと思っている。」




アレックスさんが俺を見て、俺を必要としてくれている




そんなの答えなんて決まっている




でも、本社に行くってことは海外に行くってことだ




両親や兄弟と今以上に会えなくなる




「夢なんでしょ。行っておいで、響。」




迷っているのに気付いたのか背中を押してくれる




そうだよな、せっかくのチャンスなんだ




後悔はしたくない




「はい、よろしくお願いします。」




頭を下げアレックスさんに付いていくことを決意する

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