第72話
そして夜を迎え。
公爵の執務室で俺と父、公爵と主、二組の親子は顔を合わせ、話し合いを持っていた。
「しかし。宴で話が出ただけで刺客を送るなど、到底考えられん」
公爵の声にははっきりと怒気があった。
「レナード殿下の宴だから、かもしれません。もし噂の通りオルランド様にエルンスト公が急速に近づこうとしているならば、この半年位で王宮に手の者の一人や二人潜ませてもおかしくはない。処分された者は末端に過ぎない」
主の声は冷静だった。
「内親王殿下側になら手の者も潜ませやすい。その内親王殿下もご一緒の時に自分たちの話題が出て、なおかつ談義していたとしたら。その談義を持ちかけたのは私です。それにここの所あの何を考えているか分からぬ親王殿下に付き合わされて目立たざるを得ませんでしたから。脅しておくのなら私とルシアスだと思ったのでしょう。まさか返り討ちされるとは思わずにね。馬鹿にされたものだ」
主の口調が氷の様に冷たいものになる。
それには流石の公爵も苦笑いするばかりだったが。
その苦笑は主の一言でさらに苦いものへと変わる。
「…望みもしない事実まで明らかになった」
主は不快さを隠さなかった。
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