第35話
「それよりも、先程の者達の太刀筋は」
言うと。主は傍に立つ俺を見やり、
「やはり、お前の方が上だ。一瞬で見切ったのが分かった」
「それが、私がここにこうしていることの『意義』ですから。ティレージュ様」
彼を護る事に、義務という言葉も役目という言葉も使いたくはなかった。恐らくそれは主が最も嫌う言葉だから。
「……」
ふっと、口角をあげて主が笑みを浮かべる。
俺の言葉は彼を満足させたようだった。
「しかし、…早いな。夕刻からの宴で“今”とは」
「…本日は宴の途中に座興がありました故、その時に、花の中に蛇がまぎれ混んだか…、もともと花の中に棲(す)んでいたか」
「…座興とは手厳しいが(苦笑)。ジョバンニが戻れば解る話だな」
「はい」
「帰ろうか。少し疲れた」
「それでは馬車廻りへ。今日は私が馬を御しますから」
「…頼む」
明日は幸い登城の予定はない。主も少しは身体を休める事が出来るだろう。ジョバンニの報告次第だが。
襲った相手もその目的も既に予想はついている。
けれども迂闊(うかつ)には動けない。
それが貴族に生まれた者の習わし。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます