第24話
先に国王陛下には三人の男のお子様がいらっしゃると言った。だが、国王陛下には今一人お子様がおられる。
その方こそ今目の前におられる、アンジェリーナ内親王殿下。レナード殿下の年の離れた妹君。
レナード殿下と12歳、ちょうど一回り違う彼女は、当然の事ながら王后陛下との間のお子ではない。しかし王后陛下の侍女であリ、後に側室に上がられた母君が赤子の頃に亡くなり、王后陛下が以前より皇女を望まれていた事もあって、掌中の珠のようにいつくしまれてお育ちになった。
素直で明るく、そして何よりも聡明な方。
「いいえ、駄目よ、お兄様。ルシアスの見事な黒髪がそんな事になってごらんなさい?ティレージュ様がどれほど困られるか?」
俺に目配せしながら花のような笑みを浮かべられる。
「内親王殿下」
「アンジェリーナ様、私の事はティレージュとお呼び捨て下さい」
その時主がスッと会話に入ってくる。
彼女は王族。本来ならば例え王家につながる家系とはいえ“臣下”に『様』などとつけるのは有り得ないこと。宮廷雀が耳にすればさぞかしやかましく騒ぐだろう。この宴にそれを漏らすものなど万が一にもいないだろうが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます