第37話

「あなたは本当に優しい子なのね。でも、その優しさであなたがどれだけ犠牲になるのかしら?



お母さん心配だわ...。」




透子さんの方がよっぽど太陽のようで優しい人だ。


他人のことでこんなに心を痛めるなんて。




「俺は別に犠牲になんてなりませんよ?」



俺は全然平気というアピールのために少し微笑んだ。



そんな俺をみて、透子さんは俺の首を消毒してから包帯を巻き終えると、俺を抱きしめた。



とても...優しく抱きしめた。





「もっと自分に素直にね。」





それだけ言って透子さんは俺を離した。




「今日はゆっくりして休むこと!すぐ寝るのよー!


おやすみなさい。」




明るい雰囲気に戻った彼女はそう言って部屋を出て行った。




「おやすみなさい。」



俺はすでに誰もいなくなった部屋でその言葉を発すると、布団に横たわった。

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