第16話

大樹side




「本当にイケメン!そして可愛い!!」




透子はすっかりクロのことを気に入ってしまったようだ。


触りまくってやがる。




「あんな息子を持ってるじゃないすか。」



クロはそんな透子に苦笑いを向ける。




「瑠樹はイケメンだけど、冷たいんだもの。」




引き気味のクロだが、こいつの透子を見る目はとても優しいと思う。




こいつの事は高城に調べさせたら高校に入ってからの情報しか出てこなかった。

さすがに疑わずにはいられなかったから少し質問させてもらったが...



こいつの反応を見たらすぐに安心した。



考えてみれば、赤羽の裏で働いてんだから情報がないのも当然か。




「あーあ、こんな息子が欲しかったわぁ。」






クロはそう言った透子に向かって優しく微笑んだ。


こんな優しい表情できんのか、こいつ。





透子が可愛いっていうのも分かるかもな。







しかし、そう思ったのも束の間クロの瞳に影を落とした。






「...どうした?」




「何がですか?」




「いや、何でもねぇ。」







一瞬、悲しそうな顔をしたのは気のせいか?

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