第8話

奏side




「今日行けなくなった。」




電話の相手は多分男だ。


その相手に呼び出されたということだろうか。



雅のことは深く詮索しないのが俺たちの暗黙のルールになってる。




「はっ?雅もかよー。」




「...悪いな。」




そう言って、雅はなにやら考え込むように黙ってしまった。







「そういえば、もう直ぐ文化祭だね。」




静まった室内で声を発したのは蒼大だ。


優菜は教室でちゃんと授業を受けているのでここにはいないため明らかに暇そうだ。




「そうだな!そろそろクラスで何やるか決める時期か。雅は何かやりたいのあるか?」




この高校は文化祭と体育祭を毎年交互に行っていて、今年は文化祭の年だ。




「...何でもいい。」




「そう言うと思った。」




雅は今にも寝てしまいそうで体操座りで顔を膝に埋めた。




「もう直ぐ、昼なのに寝ちゃったら優菜がまたいじけるよ。」




蒼大は呆れながら、雅を見つめてそう言った。



こいつにとってはそんな優菜も可愛くて仕方がないって感じだけどな。

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