第25話 愛の気持ち

「まずは二兎にお願いしたいことがあるの。」


「何?」


「また二人で二兎の小説に行きたい。それから、私と二兎のペア登録を解除してほしい。」


「それって―――やっぱり俺とは付き合えないってこと?」


「話はまだまだ終わってないわよ、ちゃんとに最後まで聞いてくれる?」



―――


「二兎、私初めて二兎の小説の世界に行ってみて、二兎の書く世界のことはやっぱりよくわからないなって思ったの。


でも、お姉ちゃんはずっと二兎の小説をすごく面白いって褒めてて、それがなんだかすごく悔しかった。


お姉ちゃんが隼人さんと付き合い始めたって聞いた時よりも、ずっと悔しかったんだよ。」



―――


「二兎のパパとママがいなくなってから、毎朝二兎のことを起こしに来たり、二兎の身の回りのことってほとんど私がやってきたでしょ?


それが嫌だと思ったことって一度もなかったの。

なぜか私がやるのが当たり前だと思ってた。


たぶんね、私が二兎のことを一番よく知ってるって思いたかったんだと思う。」


―――


「二兎に小説の世界の中でキスされたとき、すごく驚いたけど、別に嫌ではなかったの。


でも、どこかで残念だな...と思う気持ちもあった。


小説の世界でじゃなくて、ちゃんとに現実の世界で私と向き合ってほしかった。


だから昨日の夜、二兎が初めてちゃんとに気持ちを話してくれたの、本当にうれしかったよ。


私が二兎の世界のことを理解できなくても、それでもずっと好きでいてくれてたのも、本当にうれしかった。


二兎と同じような気持ちなのかはまだわからない。だけど、私はこれからも二兎とずっと一緒にいたいと思ってます。」



―――うぅ、なんかぐだぐたになってしまった気がする...。

でもこれが私が今言える精一杯の気持ちなんだ。



二兎のことを好きって言っていいのかはわからない。

だけど、二兎がいなくなった世界なんて考えられない。



二兎はしばらく固まったままだったけど、


「じゃぁ、ペア登録解除しようなんて言うなよ〜〜〜!!!」


と言いながらわっと泣き出した。

いい大人が、めちゃくちゃ号泣してる...。

でも、そんな二兎が今はなんだかとても愛しい。


あぁ、そうか。



「二兎!今、やっとわかったよ!!!」


「なにがだよ〜!?」


「私ね、二兎に恋したことはないけど、ずっと愛してたんだと思う!二兎、愛してるよ!」


「はぁ〜〜〜???俺よりカッコいいセリフ言うなよな〜〜〜!!!」


「私たちって子供の頃からずっとこうだったじゃない。もう今さらカッコつけるのなんか諦めな!」



私がそう言うと、


「じゃぁもうずっとカッコつけるのやめる〜!」


と言って二兎はくしゃくしゃな顔で笑うのだった。

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