第17話 腹が減っては口喧嘩もできぬ
“この話の展開で牛丼って、雰囲気ぶち壊しじゃない!?”とは思ったけど、たしかに私も牛丼が食べたい気分になってきた。
二兎の提案ってなぜか私にもしっくり来るんだよな...。
昨日の焼き肉もそうだった。
「さすがに今日は二兎が奢ってよね、私スーパーダーリン☆ガチャに1500円も使わされたんだから!」
「えっ、それマジで!?」
二兎がうれしそうな顔をして財布を取り出して中身を確認する。
「おっ、ほんとだ1500円増えてるわ。毎度あり〜!」
「ガチャガチャに入れたお金って二兎の財布に行くシステムだったの!?いや、だったら普通に返してよ!!!」
「まぁまぁ、この1500円で美味い牛丼食いに行こうぜ♪俺はやっぱりチー牛一択だな〜♡」
くっそ〜〜〜!
しかし今はとにかく腹ペコすぎてこれ以上言い争いを続ける気にもなれない。
「もう、後で絶対に返してよね!!!」
「そんな怒るなよ、余計に腹減るぞ?」
「うるさい!!!もう、さっさと行くわよ!」
牛丼屋に向かう途中、二兎はずっとうれしそうだった。
「愛と二人でメシ食べに行くのってマジで楽しくて最高。やっぱこっち戻ってきてよかったわ〜。」
「何言ってるの、自分がお金出してないからでしょ!」
「でも俺、愛以外の人に奢ってもらいたいと思わねぇし、実際に奢ってもらったこともないんだけど?」
「はぁ???そんなこと言われても全然うれしくないんだけど。」
「いや、とにかく俺の中では愛が特別な存在なんだって!」
二兎に特別な存在って言われると、なんだかすごく気恥ずかしいけど、悪い気はしないな...。
いや、でも。
私はさっきまで二兎が話していたことの中で、気になっていたことを聞くことにした。
「私のことが特別だって言うんなら、なんでお姉ちゃんにしか小説を読ませなかったの?
私、二兎が中学生の頃から小説書いてたなんてずっと知らなかったよ。
それにお姉ちゃんと二人で小説の世界にワープしてたことも、昨日まで知らなかった。
二兎にとっての特別な人って、やっぱりお姉ちゃんなんじゃないの?」
「それはさ〜...」
二兎が言葉に詰まる。
ほら、やっぱりお姉ちゃんの方が特別なんじゃない。
「とりあえず、まずは牛丼だろ。食い終わって帰ってきたら続きは話すし、なっ!」
誤魔化すように二兎が言う。
なにが“なっ!”よ。
でもお腹すいててだんだん牛丼のことしか考えられなくなってきた。
もう今日は大盛り食べちゃお〜っと!
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