好奇心と心霊とパッション
霜月優斗
第1話 なぁ、肝試し行かないか?
「なぁ、肝試し行かないか?」
肝試し。
一般的には心霊スポットに行って度胸試しと称して探索したり、少し寂れた廃墟に足を踏み入れたりするのに使われているイメージ。
但し、そんなことをする物好きは高校生のクラスの中心にいる様な、ありきたりな言い方をすれば『陽キャ』と呼ばれるような活発的な人物が行くものだと思っていた、目の前でそんなことを言い出す奴が出てくるまでは。
「……待て、まず話を聞こうじゃないか少年。何をどうして心霊スポットに行くという考えに至ったのかだけ聞かせてくれ」
俺が目の前の見るからにチャラいと思わせる山吹色の髪をキメているバカタレはウキウキといった感じに興奮しながら目をキラキラとしている、小学生か己は。
「えーだってよぉ、お前全然びっくりしたりしないじゃん。」
人の事なんだと思っているんだ。
「あのなぁ。顔に出にくいだけだからな?そんなことのためにわざわざ危ない事はしとうないんだけど」
俺がそう言うと、この目の前でブーブー膨れている俺のクラスメイトかつバカタレこと
「えーだってお前がびっくりする顔見たいって奴、結構いるぞ?」
「そんなことのために馬鹿な事考えんじゃねぇよ……。んで、一つ聞くがこのクラスの中でどれだけの人数が俺のびっくりした顔を見たいんだ?」
俺が呆れながら雄大に聞くと、ふっふっふ……と意味深な声を上げた。
「それがだなぁ、独自調査したら八割の人間が望んでるってさ」
ニッコニコしながらこのバカタレは証拠とばかりにスマホのメモ機能に書かれたアンケートの結果を俺に提示してきた、物好きしかいないんかこのクラスはァ!!それとこそこそ頷いている奴誰だぁ!!後でおにぎりの刑にしてやらぁ!
ダァンと台パンしたくなる感情を抑えつつ、ため息を零す。
「……それで?心霊スポット行くにしたってこの近辺にそもそもそういった場所にあるもんなのか?」
俺が呆れながら雄大に問いかけると、彼は当たり前だろと言った面で言った。
「そらお前、今は文明の利器たるスマホがあんだから簡単に見つかるだろ」
……ほんとに大丈夫なのだろうか。
絶対それ怪しい取引とかしてるやつとかち合わないかと疑念が生まれていると、ホームルームのチャイムが鳴ったので一旦この話はお開きになった。
「おっと、続きは昼飯の時なー、ほなほな」
「へいへい、ほなまた」
適当に相槌を打ちながら、俺は本日の授業の準備をするのであった。
尚、こそこそ頷いていた奴も心霊スポットに連行もとい同行してもらうことになりましたとさ。
好奇心と心霊とパッション 霜月優斗 @simotuki1021
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