第17話 意見交換
パドウと侍従が部屋を出て行ったあと、お互いに顔を見合わせる。口火を切ったのはローデンだった。
「王宮医からの情報に期待はできないと言ってたが、そうなったら一からメイリーン様に尋ねなければならないな」
「そうね。幼少期からの症状や治療歴の確認が必要ね」
「メイリーン様は体調が思わしくないんだろ。全てを本人からは無理があるんじゃないかな」
「メイリーン様の侍従がいるじゃない。パドウに言って合わせてもらいましょう」
マリアンとマコーミックが加わり会話が進む。
「あの……、ちょっと待って」
3人の勢いに押されながらも、言いたいことがあった。
各治療院の代表者が協力し合う、良い雰囲気ではあるが、肝心なことを忘れている。
「やっぱりどう考えても、今まで治療してきた医師からの情報って大事だよ。なるべく治療経過をもらうにはどうしたらいいかな」
「そうだね。これからの事はこの後も話せるけど、差し迫っているのは、王宮医からの引き継ぎだしね」
ネロが同調すると、また代表者3人の意見が飛び交い、優先事項として医師対策が検討される。
「メイリーン様の病状を良くしたい気持ちは同じなんだろうし、そこを押してみる?」
「それがわかっていて、パドウが難しいって言ってたんだろ」
皆が一斉に無言になる。
以前の世界なら電カル見たら一発なのに……そうか。
「カルテ……じゃなくて、治療の記録をしてないかな。それを見せて貰えたら助かるよね」
「パドウに頼んでみる価値はあるな」
ローデンがよくやったと言わんばかりに、俺を見て力強く首肯する。
俺は、会話に参加していないダレスにも意見を求めた。
「ダレス、君はどう思う?」
自分に振られるとは思っていなかったのか、見てわかるほど身体がビクッとした。悪いことをしたかもしれない。
「……王宮の医師ともなれば、専属に助手をしていた者か、見習いの医師がいたんじゃないか」
「ああ、そうだなダレス。そっちに確認するのもありだな」
マコーミックが嬉しそうに返事を返す。
意見が出揃ったタイミングで、医局に案内する侍従が我々を呼びに来た。
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