死に抗いの入れ替わり

棺羊

第1話

朝から爽やかな風と晴れやかな太陽で外は絶好のバーベキュー日和だ。

車から降りた俺たちは深く息を吸い込んだ。肺が緑の新鮮な空気を取り込む。


俺たちが住んでいる場所から車で3時間弱、人里離れた山だが、高すぎず低すぎないなだらかな山で、景色もいいので人気のスポットだ。

毎月第二週の土曜日はみんなで遊ぶと決めている。先月のピザパーティーはいつの間にかホラー映画鑑賞会にかわってしまったが楽しかった。前回はインドアだったから今回はアウトドアでっという陽介の言葉でバーベキューに決まった。

俺はバーベキューなんて3年ぶりで、しかもその時は家族と家の庭でというかんじだったのでわくわくしながらこの日を待っていた。


「くそー!晴美も来れたらよかったのにな!」


陽介の言葉にそうだな〜と俺も頷く。

食材を車から降ろす真矢も「ね〜」と笑っている。

真矢を見て、別の日に変えてもよかったんだけどな、と思ったりする。だって女子1人というのはいくら仲良しグループといっても気を遣ってしまうんじゃないだろうか、と俺は思う。


晴美は元気の塊みたいに騒がしい奴だが、真矢は逆に大人しく微笑みを浮かべている感じの子だ。いつも晴美が真矢に話しかけているイメージがあるが、今日は晴美はいない。

真矢のいつものパターンからすると誰かが話しかけてやらないと話さない。自分からぺらぺら話すタイプではないからだ。

晴美がいなかったからつまらなかったとか楽しくなかった、なんて思わせたくないから俺は今日だけいつもより口数を多めに、真矢に話しかける回数も多めに心がけようと思う。


「真矢ちゃん、あんたなんでそんなミニスカできたんだよ!蚊に刺されまくるぞー?」

「虫除けスプレー振ったからだいじょーぶだよ〜」


となりをみると陽介と真矢は楽しそうに食材を網の上に乗せている。俺は無駄な心配をしてしまったことが少し恥ずかしくなる。


「光太郎〜」


タケに声をかけられて俺はクーラーボックスから人数分のビールを取り出した。



せっかく山に来たんだから山の遊びをしよう、という幸哉の提案で俺たちは宝探しをすることになった。30分後に広場に戻ってきて拾ったものを見せ合い、一番お宝っぽいものを探し出せた人の勝ち。みんなから千円ずつもらえるということに決まった。


さっそく俺は山の中に入っていく。あまり深くは入りすぎないように気をつけつつ探すことにした。

どんぐり、鹿のフン、まつぼっくり、ときどきガラスの破片......。山です、といった感じなものばかりでなんか祠とかないかなーと見回してみても特になく。

歩きながら汗だけ流していると木々の隙間から川が見えた。


「おっ川じゃん。ラッキー」


俺は川に近づくと靴を脱いで足をつける。ひんやりとした冷たさで一気に汗が引いた。水の流れる音や木の葉っぱが擦れる音がとても気持ちいい。

この川をお宝ってことにしよ、そう考えたその時。

俺はいきなり背中を押された。突然のことと川の石の滑りで俺は前のめりに川に突っ込んだ。幸い川は浅くすぐに立ちあがろうと川底に手をついたが、それはできなかった。

何者かが俺の頭と背中を押さえつけている。俺は恐怖でパニックになってしまい水を吸い込んだ。必死に手足をばたつかせる。


殺される!嫌だ!死にたくない!!


しかし何者かの力は強く、俺は__________。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る