第4話 惚れ薬開発大作戦
「キャシー……翻訳こんにゃく、ダメだったよ。こんにゃくが嫌いなんだって。キャシーの錬金術の限界だな。結局、キミはドラちゃんには勝てないのさ」
「イサムくんがこんにゃくを材料に選んだから、いけないんでしょ! 錬金術のせいにしないでくれるかなぁ」
なんで、こんにゃくにしたのかって。
そう。それは、俺のライフワークであるウィンナースポーツ(オ◯ニー)の自作ガジェットの材料として常備してあったからだ。
TENGAは素晴らしい。あれは、いつかノーベル賞を獲ると俺は確信している。
しかし、あの高額なTENGAは苦学生の俺にとって『高嶺の花』ならぬ『高嶺の穴』なわけで。
そこで、こんにゃくとカップ酒の空き瓶を使って、自作TENGAを作ることに精を出していた。もちろん、完成後にも文字通り精を出すわけだが。
「柔らかくて、弾性があれば何でも良いのよ。ゼリーでもガムでもグミでも。ああ、グミなんて最高ね」
「グミなら、自然に食べさせられるじゃねぇか! よーし。グミ買ってくるぞ」
「ちょっとまって、イサムくん。言葉が通じるからって、女の子がアンタの事を好きになるとは限らなくない?」
「ググ……た、たしかにそうだな」
「最初から、惚れ薬を作っちゃえば良いんじゃない?」
「その手があったか! 作ってくれキャシーさん!」
「うーん。でも、上手くできるかしら」
西暦換算三〇五〇年の未来では、惚れ薬の錬成は禁止されているらしい。
世界の文明が滅んだ理由の一つに人口の爆発があった。以来、人口の管理を徹底していて、惚れ薬により無計画な子作りが成されないようにしているとのこと。
「へぇ、未来も大変なんだな」
「ええ。全世界で五億人以上に増えないように管理しているのよ」
「ご、五億って少なすぎじゃない? 今って八十億人くらいいるぜ?」
「うん。西暦一五〇〇年代の世界人口ね」
「へぇ。信長とかの時代の人間ってそれくらいしかいなかったのか……」
「って、いいのか? そんな禁止されているようなものを作ってしまって」
「大丈夫よ。イサムくん一人がモテるようになっても何ら影響はないし、どうせ、あと二五年でこの文明は滅びるんだもの」
「本当に世界は滅びるのか。じゃぁ、二十五年間、女を抱きまくるしかないな!」
「はぁ、きっと、アンタみたいなのが文明を滅ぼすのね」
天才錬金術師であるキャシーの考え出した方法であれば、理論上、惚れ薬を作ることは可能であるらしい。
もし、失敗しても薬の効果を消す『リセット薬』があればリスクなく実験を繰り返す事ができるんだとか。
その日から、キャシーと俺の『惚れ薬開発大作戦』の毎日が始まった。
ずらりと並ぶ試験管やフラスコは、いかにも開発してます感を醸し出す。
「イサムくん、飲んでみて」
ゴクッ――
体が熱くなり、力がみなぎる。
「こ、これ……成功なのか」
歓喜と期待をともにキャシーの顔を見つめると、ワナワナと怒りが込み上げてくる。
「てめぇ、キャシー! なんてもの飲ませやがる。今にも殴り飛ばしたい気分だ」
「はぁ、『怒り』かぁ……失敗ね。はいリセット薬のんで」
ゴクッ――
熱を帯びた体がクールダウンされていく。
「は……何だったんだ。物凄い怒りの感情が」
その後も、失敗を繰り返し、喜怒哀楽の感情が沸き起こった。
「うまくいかないわ。集中力が切れたし、続きは明日にしましょ」
次の日も失敗が続く。
怒り、喜び、受容、驚き、恐れ、悲しみ、嫌悪、期待。
なかなか『惚れる』が出てこない。
「ガチャ失敗の気分だぜ。またリセマラか」
「頑張って! イサムくんのモテ期はすぐそこよ!」
「もうリセット薬で腹がタプタプだって……うっぷ」
更に次の日も、ありとあらゆる感情が体中を駆け巡り、徐々に精神が蝕まれていくような気分にすらなる。
敬服、崇拝、称賛、娯楽、焦慮、畏敬、当惑、飽きる、冷静、困惑、渇望、嫌悪、苦しみの共感、夢中、嫉妬、興奮、恐れ、痛恨、面白さ、喜び、懐旧、悲しみ、同情、満足……一体、感情とはどのくらいの数があるのだろうか。
「ロマンチック、好感、性欲の三つがバランスよく混じり合わないといけないようね。イサムくん! 道のりは長いわよ」
一つのことに情熱をもやし、努力を継続できるキャシーには尊敬の念すら覚える。
天才と称されてなお、研究に一切の手を抜かない姿勢はすごい。
「キャシーの爪の垢を煎じて飲めば、俺も大学に受かるんだろうな」
「爪の垢にそんな効果はないわよ。さ、次はこれを飲んでみて」
ゴクッ――
あ、あ、あ、あ。なんだろう。この感覚。
キャシーを見つめると、急に愛おしく想ってしまう。
「キャシー、成功したかもしれない」
「本当? じゃぁ、私も飲んでみるわ」
丸型フラスコにぷっくりとした唇を付けて、できた薬を飲む姿に、ついつい見とれていた。
「ど、どうだ? 俺のこと好きになったか?」
「……」
胸が締め付けられるような感覚が襲ってくる。
早く、俺への気持ちの答えを聞きたい。
いや、でも聞きたくない。
自分の心臓の音がキャシーに聞こえてしまうのではと思うほど、胸が高鳴る。
「イサムくん」
「キャシー……」
キャシーは潤んだ瞳で俺を見つめる。
「何も感じないわ。また失敗よ。泣きそう」
「え? でも、俺は……」
「さ、リセット薬を飲んで次よ! 次」
リセット薬を飲んだあとも、キャシーの姿を見ていると胸が高鳴る。
一体、俺はどうしてしまったのだろうか……。
まさか、シンプルにキャシーに恋を……?。
――
ここまでの物語。率直なご評価をいただければ幸いです。
★★★ 面白かった
★★ まぁまぁだった
★ つまらなかった
☆ 読む価値なし
↓↓↓ ↓↓↓
【朗報】未来から来た天才美少女錬金術師の協力で今日から俺は女を抱きまくる!……はずだった。 いぬがみとうま🐾 @tomainugami
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます