第8話 私と香苗とのある日

「あー。本当に何だったんだあいつは。海翔君のこと何も知らないのに、知ったふりして。」


(今日はいろいろなことがあったな。いろいろあり過ぎて、頭ついていけないよ。ほんと)


やっと香苗にちゃんと想いを伝えらえれたっていうのに、また次の問題かよ。いつになったら、私は楽になれるの?


「まあ、どうせ私はもうすぐ死ぬんだし、知らないふりでもしておこうか」


そう思いつつ、内心では結構悩んでいる。ほんとに。まじで。


*****


 〝ブーブー〟


スマホが鳴き出した瞬間、私は跳び起きた。

香苗からの電話だ


「何だよ。朝から。ほんとにうるさいんだけど!」


と言いつつも、電話に出た。


「今、何時だと思ってんの」

「えっと、、、。朝の6時だね」

「早い」

「ごめんごめん」


何だろう?私、何か香苗に気に食わなかったようなことしたっけ。もしかして、昨日歩道で抱き着いたことかな。

考えるだけで恐怖感を感じた。少し寒かった。


「昨日のことなんだけど、彩華」


 そして、香苗は言った……。不思議な声で、、、。


「また心配されたと思われたら、ごめんなんだけど、昨日、別れてから、他の人に絡まれてなかった?」


確かに声は心配してそうな感じだった。でも、今回のは嫌じゃなかった。


「確かに絡まれたよ。同じ学校同じ学年の女子にね」

「だよね」


なんで絡まれたこと香苗が知っているんだろう。そんな疑問を抱きながら、私は電話を続けた。


「海翔くんの女友達だと思う。けど、私にあんな言い方はないと思う」


そんな事を言っていたが、香苗はただただ黙って、話を聞いてくれた。


「スッキリした?」


香苗は何が聞きたかったのか、私には分からない。けど、声が柔らかかったのは確かだ。つまり、何かしら私のことを思ってくれてはいたのだろうと伺える。

どういうことを言ったのか、正直に聞こうと思ったのだが、私は質問を質問で返すのが嫌いなのだ。コミュニケーションになっていないからである。そのため、私は、この質問の回答として、正しいと思われることを言ってみた。


「うん。多分」

「そ、なら良かった。じゃあ、また後でね」


そう言って、私達は、お互い学校の準備をして、いつもの場所に集まり、登校した。


(今日は、昨日みたいなことにならないように気をつけよう、そして楽しもう!)

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1年後、最後の愛を誓った 華村牡丹 @minori-enananosi

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