前のエピソード――第4話

５

　CNNのニュースキャスターによる山口美江に対するインタビューが続いていた。

「それでついにイネスはシャネルのモデルになり世界中で有名なモデルになったわけですね」

「そうですね」

「ではクリステルさんもイネスさんのようなモデルになるのが目標なのでしょうか」

「さーどーなんでしょーかねー、私にはわかりません」

「クリステルさんが着ているドレス、コンセプトは何でしょうか」

「やはり弁護士になったことをアピールしていることだと思います」

「あの黒い法衣のようなドレスの表に名前と日付が大きく刺しゅうされていますね」

「はい、本物のフランスの弁護士の黒い法衣には裏の右側に赤い糸で本人の名前と弁護士になった日付が刺しゅうされています」

「ファッションのデザインはもともと実用な衣装を基礎として考えられたものがありますね」

「はい。その代表がミリタリールックというものではないかと思います」

「軍服ですね」

「そうです。軍服を基礎としたイメージ的な衣装というのが結構な人気です。昔、グループサンズが流行っていたころとても人気があったようです。それに日本の学生服がそうです」

「確か日本では、中学生と高校生は制服があるようですね」

「はい、あります。現在は必ずしもそうではありませんが、日本の中学生、高校生が着る学生服はもともと軍服を土台としたデザインなわけです。男子学生が着る詰襟の五つ金ボタンの制服。さらに女子学生が着るセーラー服、これは水兵さんの軍服そのものですね。このセーラー服というものは、もともと水兵さんの軍服だったわけです。それを女子学生が自分たちの制服のデザインにしてしまったわけでした」

「この黒い法衣も人気があり着たがる人は多いですね」

「そうですね、フランスの弁護士の黒い法衣、ファッション的価値はとても高いですからね」

「この黒い法衣のデザインを考えた人のファッションセンスはとてもいいですね」

「そうだと思います。すばらしいデザイナーです」　　　つづく