第4話
土とか、鉄とか入ってるのか。
めちゃめちゃ重たいリュックを背負い、一歩一歩確実に、前に進んでく。
重たいよぉ。
重いよぉ。
「ぜぇ…はぁ…ぜぇ、はぁ…」
「こっちですよぉ」
穏やかに笑いながらとことこ歩いていくおばあちゃん。
楽そうでなによりです。
でもね、おばあちゃん。
俺、筋力、そんなに、無いんですよぉ。
そこそこな背高なだけで筋力値低いんですよ。
怪力ではないんです。
よく勘違いされます。
ハヤトのほうが強いんです。
そんなことを考えつつ、なんとかおばあちゃんの家に辿り着いた時、俺の全身の筋肉は死んでいた。
変な汗めっちゃかいてる…。
足ガクガク。
この後仕事出来るか不安だ。
「ありがとねぇ、これと、これを、貴方に差し上げるわねぇ」
「わ、ありがとうおばあちゃん。…あー冷たくて美味しい…」
一端家の中に引っ込んだおばあちゃんが、飲み物と小さな包みを俺にくれた。
喉が渇いていたので一気飲みする俺に、おばあちゃんがにこにこーって笑って、消えた。
「え」
というか、おばあちゃんの家ごと消えた。
さっきまであった家と、違う家の前に俺居る。
「…もしかして、妖精の悪戯?」
この世界では時々妖精に悪戯されることがある。
俺は結構されまくっていた。
何度も悪戯されまくってる。
鼻擽られてくしゃみとか。
足の裏擽られるとか。
髪を引っ張られるとか。
採取した物を別の物と交換されるとか。
今のは道に迷わされた時と感覚が似ているから、間違いない。
でも、何かを貰ったのは初めてだ。
…今までのお詫びってやつかな。
貰った物を再確認する。
冷たい飲み物をいれていた容器だ。
よく見たらこれ、すっごい綺麗だ。
なんかたぶんめっちゃ高機能なのでは?
後で鑑定してもらわないといけない。
最悪は売ってお金に換金させて頂こう。
これは実に嬉しい。
アイテムボックスに仕舞っておこう。
こっちの世界の常識、固有容量千差万別異空間収納、アイテムボックスに俺はコップを仕舞った。
俺の収納スペースは押し入れぐらい。
ハヤトの収納スペースは無限大。
「あ、も一個もらってたか…うん?これは飴?」
小さな包、それを開けるとそれは大玉の虹色の飴だった。
綺麗だな。
甘そうだな。
妖精がくれたってことなら、きっと甘いに違いない。
俺が甘い物食ってると必ず盗み食いされるし、きっと甘党。
「あーん……ん?甘くないな…変な飴だな…って、やべっ、仕事仕事っっんぐぃぅううっ」
はっと気づいた拍子に飴を飲んでしまった。
勿体ないことした。
でも不思議と喉痛くないな。
うん、まぁ、いっか。
大丈夫だろう。
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