足手纏い。

そういうのは感じていた。

俺には戦闘の才能がなかった。

天職は採取者だった。

だからあらゆる採取技術に特化していった。

経験を積んで育つスキルツリーの何処を見ても、攻撃的なものはなかった。

生えてこなかった。

今も無い。

だから魔物に見つからないようにこそこそ、のろのろ、隠れて採取している。

攻撃出来ない訳ではないけれど、大して強くないし、のそのそ動作なので、戦闘するのは自殺行為だと言われている。

だから、悩んださ。

そりゃ、悩んだ。

でも、ハヤトが気にしてなかったから。

じゃあ、ハヤトを精一杯フォローしようって。

そう思って。

頑張ってきたつもりだった。

俺たちは、その日高校の校舎に居た全員纏めて異世界へ転移してしまった。

俺とハヤトは一緒に昼飯食って居たので、勿論共に異世界転移した。

異世界ではよく、こうやって転移してくる集団がいるので、受け入れは容易く優しかった。

ついでに優秀な天職を持つ者が多いので、生活地盤築くまでの扱いは手厚かった。

異世界での生活知識もちゃんと教えてくれたし、親切なひとも多かった。

それでも、最初はてんやわんやだった。

怖くてたまらなかった。

帰れない恐怖が、強かった。

でも生きていかないといけないから。

俺たちは異世界に馴染んで生きてこうってなってった。

ハヤトは元々優秀で超出来るスパダリだったから、異世界に来ても変わらなかった。

天職は魔法剣士だった。

万能なレア職だった。

そうだよな。

魔法もそつなく使いこなして、前衛も出来るなんて。

俺のスパダリはすげぇなぁって思った。

だからこそ、俺は、支えようって奮戦してた。

頑張った、つもりだった。

ある日、まぁまぁ仲良かったからパーティー組んでたクラスメイトの奴らがハヤトに、

「いい加減分かれよ、あいつはお荷物だ」

「邪魔じゃん、鈍クセェし」

「採取特化とかもうどうでもいいじゃんか」

って言ってるを聞いてしまった。

俺は思わず僅かに開いたドアの隙間から聞き耳を立ててしまった。

借宿の一室、俺が居ない間に俺の悪口。

ハヤトに言われるのならともか、こいつらに言われたくないって思っていたら。

ハヤトが、

「…そうだな」

って応えた。

ぼそぼそってその前と後なんか言ってたけど、その肯定ばかりが耳に残った。

恋人だから。

少しは。

かばって貰えるって。

思った俺が馬鹿でした。

俺は次の日朝一番、パーティーを抜けることにした。

ついでにハヤトに別れようって話をした。

ハヤトは少し驚いた顔をしていたけど「わかった」と言った。