第七話 ギャル達の異世界転移 その一

≪立花 彩美 視点≫

「アヤ、アヤ、大丈夫か?」

「うっ…うん、ミサ、頭が少し痛い…」

 親友のミサが、うちの肩を揺さぶって起こしてくれた。

 あれ?うちは何で寝ているんだっけ?

 確か、今は退屈な授業中だったと…はっ!


「ミサ、モモは!」

「大丈夫、モモもそこにいるよ!」

「良かった~、で、ここはどこ?」

「分かんない、あたしもさっき目を覚ましたとこで、周りにはあれが…」

「!?普通じゃないね、急いでモモを起こすよ!」

 モモを起こしながら、周囲の状況を改めて確認してみる。

 先生を含めたクラスメイト全員が、教室から別の場所に連れ去られている。

 更に、変な鎧を着た者達に囲まれていて逃げ場はない。


「異世界転移!?まじ!?」

 オタク達が騒ぎ始めているけれど、そんな馬鹿な事起こりえる筈もない。

 しかし、教室にいた全員を眠らせて連れ去る事も現実的ではないね…。

 変な鎧を着たやつらも、コスプレには見えない。


「モモ、ちょっとあれ見て!」

「う~ん、なにこれ~?」

「分かんない」

「うわ~、敵意だらけだよ~」

「そう、ミサ、相手は武器を持っているから、手を出さないようにね!」

「分かってる、でも、やられそうになったらやるよ!」

「うん、その時はうちも手伝うよ!」

 うちらは三人で身を固め、何かあった時に備えた。

 うちら三人に恨みがあって拉致った事ではなさそうだし、モモが目当てでもなさそう。

 モモの家は大金持ちだから、モモだけ狙われているなら理解も出来る。

 だけど、あいつらの視線はクラスメイト全員に向けられていて、モモだけを狙ったと言う事ではなさそう。

 うちとミサでモモを守りつつ、隙あらばいつでも逃げ出せるよう準備をした。


「モモ、あいつはどう~?」

「ん~、本当の事の中に嘘が混じっている感じかな~。それと~、悪人だよ~」

「そっか、ミサはモモをちょっと守っていて、うちは委員長に伝えて来るよ」

「ん、分かった」

 モモは、その人が嘘をついているかどうかが分かるし、善人か悪人かもだいたい分かる能力がある。

 それは、幼い頃から父親に連れられて大勢の人達に会っていたから身に付いた能力らしい。

 今はモモの能力の事より、委員長に危険性を知らせてあげないとね。


「委員長、ちょっといい~?」

「立花さん、今忙しいんです!」

「重要な事だから!」

「…分かりました、手短にお願いします」

「おっけ~」

 委員長は不安がっていたり、泣いたりしている女子達を何とかまとめていた。

 うちも、それを止めさせたいとは思ってないけれど、伝えておかないといけない事がある。

 うちの真剣な表情に、委員長も聞く耳を持ってくれたのは良かった。


「王様の言った事は、半分本当で半分嘘くらいに思って。それと、女子は出来る限り二人以上で行動して、決して一人にならないようにね!」

「はい、それは大体分かっています」

「後は~、困ったらいつでも相談に乗ってやるからね~って皆に言っといて」

「貴方に相談する方はいないと思いますが、一応伝えておきます!」

「うん、よろ~」

 委員長に伝えたから、女子達全員に伝わるでしょう。

 相談しに来れば真剣に相談に乗ってやるし、場合によっては仲間に入れてやったりもする。

 だけど、うちらは女子受けが良くないから、誰も来ないかも知れないね。

 今は他人の心配より、うちらの心配をしなくてはならない。


「モモ、どの子なら安心できそう~?」

「う~ん、あの子かな~?」

 未だに、ここが異世界なのかは分からないけれど、部屋を与えてくれるそうだし、今は従う他ないんだよね…。

 モモに善人のメイドを選んで貰い、うちらに与えられた建物の部屋へと移動して行った。


「結構いい部屋じゃん」

「モモの部屋より狭いかな~」

「モモの部屋に比べればどこだって狭いって!」

 うちらは三人一部屋にして貰い、他の女子達も二人以上で一部屋借りる事にした見たいでよかった。

 部屋に不満は無いけれど、四階と言う場所には不満が残った。

 外の風景も日本と違っていたし、ポケットに入れてたスマホも圏外で繫がらない。

 何処に逃げればいいか分からない状況で逃げ出したりは出来ないけれど、いざという時に四階だと逃げ出しにくい。

 メイドに一階にして貰えないかと尋ねたけれど、無理だと言う返事が返って来ただけだった。


「アヤ、先生が集まって話をするとか言ってたけど、行く?」

「行かないよ、話し合った所で状況は変わんないっしょ」

「そうだな」

「モモ、おうちに帰りた~い」

「うん、うちも帰りたいけれど…」

「やっぱ、魔王を倒すしか方法はない?」

「ううん、ここが異世界で本当に連れて来られたのだとしたら、帰る方法もきっとある!

 うちらは絶対に帰る方法を見つけて、三人で日本に帰るよ!」

「分かった」

「うん、モモもさんせ~い!」

 三人で話し合った結果、王様の言う事には従わず、帰る事を優先すると決めた。

 まだ、分からないことだらけで不安しかないけれど、ここで弱音を吐いていてもどうにもならないし、ミサとモモを不安がらせてもいけない。

 うちは気持ちを強く保ち、三人で無事に帰ると誓った!

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