第五話 ボッチの初体験
≪前田 満 視点≫
この世界には魔法と言う不思議な力があると、本に書かれていた。
魔法は、この世界に住む者達なら誰でも使え、三百年前に僕達と同じように呼び出された勇者達も魔法が使えたらしいので、僕でも魔法が使えると言う事だ。
魔法…日本にはなかった技術で、男の子なら一度は使ってみたいと考えるはずだろう。
僕も当然、アニメやゲームのような事が出来たら楽しいだろうなと、幼い頃は考えた事はある。
実際には、そんな夢のような事は出来るはずもなく、皆諦めて勉強やスポーツに励むようになる。
…。
早く帰るためには、これは必要な事だ!
決して、僕が楽しむためにやるのではない!
そう自分に言い聞かせつつも、頬が緩んでいくのが分かる…。
と、とりあえず、使えるかどうかの確認はしなくてはならないよな!
ルナさんは、食器を下げるために部屋から出て行っているので、試すなら今しかない!
僕は深呼吸をし、ノートに書き写した呪文を慎重に唱える事にした。
「我が源たる力を我の前に示したまえ」
呪文を唱え終えると、僕の前に青いプレートが現れ、そこに僕の現在の状態が記されていた。
本当に魔法が使えたと言う事に驚き、そして声を上げて喜びそうになった!
しかし、これはステータス魔法と呼ばれる基本中の基本の魔法で、自分の能力を可視化しただけに過ぎないので、喜ぶにはまだ早い。
名前: 前田 満
種族
レベル: 1
職業: 未定
ライフ: 18/20
マナ: 28/28
筋力: 3
体力: 4
器用さ: 7
素早さ: 4
知力: 7
スキル:
魔法: 一般魔法
僕はずっと帰宅部で、運動はあまりやっていないので体力が低いのは分かっていた。
しかし、数値として表されると、ちょっとへこんでしまう…。
この世界で生き残って日本に帰るためには、体力を上げておく必要があるだろう。
数値が上がるのはレベルが上がった時に限られるけれど、レベルが上がる前までの行動が数値の上昇に影響があると本に記載されてあった。
明日からは筋力と体力を上げるために、運動をやって行かなければならないだろう。
さてと、ステータス魔法の欄に一般魔法と言うのがある。
これは誰でも使える魔法で、魔法の欄に表示されていると言う事は、僕にも使う事が出来ると言う事なのだろう。
青いプレートの一般魔法の所に触れると、以下の魔法が表示された。
着火: マナ1
飲み水: マナ1
体を綺麗にする: マナ2
物を運ぶ: マナ2
時刻: マナ1
魔法の使い方はステータス魔法とは違い、使いたい魔法を触るだけでいいと本に書かれていた。
基本的に魔法は、この青いプレートに表示されているのを触るだけで使えるそうで、呪文を唱える必要はない。
すごく簡単に使えて便利だと思う。
とりあえず時刻の確認をしてみようと、触れてみた。
(イーライリーズ歴1250年 5月3日 20時47分)
青いプレートに時刻が表示され、自分の残りマナが1減って27になっていた。
これも魔法と言っていい物とは思えないので、次に体を綺麗にする魔法を選択してみた。
すると、体全体が淡い光に包まれ、なんだかすっきりしたような気がする…。
時間にして十秒くらいだったけれど、これで体が綺麗になったのであれば、非常に便利だと思う。
「あっ、魔法を使われたのですね」
ルナさんが戻って来て、僕が魔法を使ったのを見られてしまった。
別に怪しい呪文を唱えていた訳では無いけれど、見られて恥ずかしいと思ってしまった…。
もしかしたら、魔法は使ってはいけなかったりするのだろうか?
でも、ルナさんが怒っているようには見えないけれど、一応確認しておいた方が良いのかも知れない。
「あの、魔法を使ってはいけませんでしたか?」
「いいえ、危険な魔法以外なら使っても構いません。ミチル様は流石勇者様ですね。
誰にも教わらずに、もう魔法を使えるようになったのですから。
私なんて、魔法を使うのにかなりの時間が掛かったのです…。
あっ、こちらは着替えになります」
「ありがとう」
ルナさんから着替えを受け取り、寝室に行って用意してもらった下着と寝巻に着替えた。
脱ぐ際に、一日中着ていた制服の匂いを嗅いだけれど、全く臭くはなかった。
やはり、魔法で綺麗になったと言う事なのだろう。
「着替え終わりましたか?」
「は、はい」
「では、こちらの服は洗濯しておきますね、それとこれは明日着る服になります」
「あっ…」
魔法で綺麗になったから必要ないと言いたかったが、ルナさんは有無を言わさず、僕が脱いだ制服と下着を持って行ってしまった…。
でも、洗濯した方が綺麗になるのは間違いないよな。
悪いけれど、ルナさんに洗濯してもらう事にしよう
リビングに行って、開いていたノートを片付け、寝る準備をすることにした。
いつもは22時くらいに寝ていたので少し早いけれど、明日からは運動しなくてはならない。
早めに寝て、早起きしようと思う。
「失礼します」
寝室に行ってベッドに横になって寝始めていると、下着姿のルナさんが寝室に入って来た。
僕はその姿を見て、直ぐに体を反対側に向けてルナさんを見ないようにした!
「夜のお勤めをしにまいりました」
「ひ、ひ、ひ、必要ありません!!!」
「そうですか?遠慮なさらずともよろしいのですけれど?」
「い、い、いい、いいえぇぇぇぇ、だ、だ、大丈夫です!」
「分かりました、ミチル様、おやすみなさいませ」
ふぅ~、びっくりした…。
夜のお勤めって、そう言うのもメイドの仕事なんだ…。
いいや、冷静になって考えてみよう。
僕達を魔王と戦わせようとしているのだから、やる気を出させるために女性を与えておくのは悪い手ではない。
僕がルナさんを抱いてしまったなら、ルナさんの為に頑張って魔王を倒したいと思うかもしれない…。
そんな思惑には乗るつもりは無いし、魔王を倒したいと思っていない僕がルナさんを抱いたりできるはずもない。
うん、決して僕が童貞だから女性を抱けないとか、そう言うのじゃないから!
惜しい事をしたと思わないのか?今からでもルナさんの所に行ってやらせて貰えよ!
悪魔が囁いて来るが、頭を強く振って悪魔を追い払う。
僕は、罠に引っかかる様な間抜けではない。
気持ちを落ち着かせ、何とか眠るよう努力をした…。
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