近未来の「私」の元へ、戦死したと思っていた夫が帰ってきます。
普通なら「えーよかったね!!」と拍手を送りたいところですが、この状況がまたすごい状況なのです。
なんと夫さん、〇〇になって戻ってきてしまったのです。真相は読み始め3秒でわかります。
思わず「私」と共に読者も呟くことになるでしょう。
「なんでよ」――と。
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最初の2行で「どど、どういうこと!?」と引き込まれる、濃厚なSF短編。
語り手である「私」はクールな女性で、のほほんとした夫へのツッコミも切れ味のいいナイフのように研がれています。しかしこれがユーモアがあって、家事を担当してる方ならうんうんそれなwwって頷いちゃうものばかりなのが愛しい。
しかしこの短編で味わうべきものは本当に奥深くに隠れていて、最後まで読まないとわかりません。シェフである作者さんは、唯一のデザートを文字通り最後に到達するまで出してくれないのです。事実、読み終わって私は「そういうことぉ……」ってだばだばに泣きました。その感動もなんというか、単純な感情からくるものではないのです。
その人を「その人だ」と信じることができる要素はなにか。
信じられない場合、どうするのが正解なのか。そんなものはあるのか。
SFらしく、いつかこんな未来もくるのかも……なんていう不思議な予感も。
人間の愛らしさともどかしさ、そして爽やかな愛が詰まった名作。
出会えた方は超ラッキーですので、どうかお見逃しなきよう!