第8話 エピローグ
僕はあれから樹とは会っていない。
あの話をした時、就職をして初めてのゴールデンウィーク。お互いに会社に馴染めず、初めての長期休暇で暇を持て余していた二人だった。
僕の部屋に集まり、互いに会話をするでもなく、お互いに好きなことをしている。
僕たちの大学時代もそんな感じで過ごしていた。
そして、いつものようにどちらともなく疑問をつぶやき、その疑問に互いに答えていく。
何気ない日常。とでも言えるくらいなんとも無い会話だった。
あの会話から僕の人生の何かが変わったってこともない。
おそらく樹も同じだろう。
事実、僕は休み明け、明日から仕事だと思っていた頃にはすっかりと忘れていた。
そして、仕事の忙しさと新しい会社の人達との人間関係で、樹と連絡を取り合わないことにも疑問すら感じなくなっていた。
何か、こうやって一つ一つを忘れながら、周りに流されながら、大人ってものになっていくのかな。とも思った。
そのうちに恋人を作って、結婚をして、子供が生まれ、そして年老いていく。
それが当たり前にやってくるし、当たり前にこなせると思っていた。
異世界のつくり方 @khuminotsuki02
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