第2話 異世界魔法の作り方2
学「それで考えはまとまったか?」
樹「ああ、全部ではないけどある程度まとまった」
学「それで?なにか解ったのか?」
樹「まず、異世界転生には大きく分けて二種類ある。ゲームの世界に転生するパターンと元からあった魔法なんかが普通に使える異世界に転生するパターンが」
学「そうだな、大きく分けるとそんな感じだな」
樹「それで俺がこれから話すのは元から魔法が使える世界の話な」
学「解った。それで?」
樹「ファイヤーボールで思ったんだけど、なんで目の前に炎の塊が出てくると思う?」
学「何でって、魔法だから?じゃあ駄目なのか?」
樹「だから何で魔法を唱えると炎の塊が出来るのか。そうだなあ、解かりやすくいうと、小学校の理科の時間で教わったことだけど、火ってなんで見えると思う?」
学「火がなんで見えるか?いきなり言われても、何だっけ?」
樹「火は燃えるものと燃やすものが有って初めて炎のようになる。つまり、木が燃えるもので酸素が燃やすもの。それが揃って初めて火として見えるわけだ」
学「それは分かるけど、でもガスコンロやライターなんかは木みたいなのが無くても、火として見えるんじゃあない?」
樹「ガスコンロもライターもガスが燃えるもので酸素が燃やすものだ」
学「じゃあ異世界は燃えるガスが充満してるってことか?」
樹「それだといつ爆発するか分からないし、転生だけじゃなくて転移する人も居る訳だから、そんな世界に転移した人はすぐに体がおかしくならないと説明が付かないだろ?」
学「じゃあ何が燃えているんだ?」
樹「燃えているのは魔素。魔力元素。現代では確認されていない元素が異世界には有る。それが燃えて炎となる」
学「元素が燃えて炎として見ることが出来る。かあ。確かに言われてみればそうだよな、何が燃えているかなんて考えたことも無かったな。じゃあ他の属性もその元素、魔素だっけ?が性質変化して魔法となるということか?」
樹「うん、そうだと思う。でもそれぞれの属性で違う魔素が反応していると思うよ。じゃなければ、空気中の魔素が簡単に枯渇してしまうと思うから」
学「なるほどね。確かに色々な魔法を使っているもんな。じゃあ魔素は全部で4種類ってことか?」
樹「うーん、それだと説明が付かないことが有るんだよな」
学「何だ?魔法に関しては十分な説明だと思うけど」
樹「回復魔法やバフ、デバフ魔法の説明が、空気中に有る魔素では説明できないだろう?」
学「ああ、確かに。魔素が4種類に限ってしまうと色々と説明できないな。じゃあ魔素は他にも種類が有るってことか。でも、簡単に種類を増やしたところで回復魔法やバフ魔法の説明は付けにくいな」
樹「そうなんだよ。回復もバフもデバフも空気中の魔素に反応してっていうよりも、自分たちの体内で起こっている感じだろ?バブ、デバフなら空気中の魔素を吸ってってことで説明は何とか出来そうだけど。回復がなあ」
学「空気や気体を吸い込んで回復する、ってものはだいぶ違和感があるよな。魔素の発想はとても良いけど、それだけじゃあ全部の説明が出来ないって事か」
樹「そうなんだよ。良い着眼点だと思ったけどなあ。違うのかな?」
学「ん?そういえば魔素は空気中を漂っているんだよな?」
樹「俺の仮説ではな」
学「じゃあ、人間もその空気を吸って生きているんだから、一緒に魔素を体内に取り込んでいるんじゃあないか?」
樹「そうか、体内に取り込まれた魔素が魔法詠唱に反応して体を回復させる、ってことか」
学「うん、そう。それなら説明に矛盾が無いだろうし、それに土魔法で土とか岩の塊が飛ばせる事も説明できるよな」
樹「魔素は異世界すべての物に取り込まれている。ってことか。確かにそうだな、そう考えれば魔法に関して説明が付くな」
学「まとめると、異世界にしか存在しない元素、魔素が有って、その魔素のお陰で魔法が使えている。そしてその魔素は全部で、何種類だ?」
樹「火、水、風、土、回復、バフ、デバフの全部で7種類か?いや、もっとか?」
学「とりあえず7種類にして話を進めよう。魔素は魔法詠唱によってそれぞれの属性に変化して、いわゆる魔法として目に見えるようになる。そして、人の体内に入った魔素が作用して回復やバフが掛かる。反対に敵に作用させればデバフになる。そういった感じか?」
樹「うん、それで何で魔法が使えるのかの疑問は解消できたと思うけど、どうかな?」
学「そうだな、何で魔法が使えるのか?の説明は魔素が反応するからで問題無いと思う。でも、その魔素を反応させているのはどういう解釈だ?」
樹「それが魔法詠唱だろ。実際に異世界に行って確認したわけでは無いから憶測になるけど」
学「魔素も十分憶測だから」
樹「そうだな。魔法詠唱でおそらく異なった周波数の組み合わせをしていると思う」
学「どういう事?」
樹「つまり、これもファイヤーボールで説明するか。ファイヤーボールを使用するときに前口上みたいなのとファイヤーボールの言葉を言っているだろ?」
学「ああ、確かに。でもそれと周波数とどんな関係が有るんだ?」
樹「あの前口上で喉あたりを慣らして特定の周波数がでるようにしているんじゃあないかな?そして上級魔法では重ねる周波数の数が多くなるから、発動までに時間が掛かるなどの制約が出てくる」
学「なるほどね。確かにそうだな。でも無詠唱は説明が出来ないんじゃあないか?」
樹「確かにな。そうなんだよ。でも周波数を出せればそれで良いのだから、わざわざ魔法を詠唱せずに、口笛を吹くように無音とまでいかなくても、ある程度の音で魔法が発動するって考えれば、それは無詠唱に見えるんじゃあ無いかな?異世界の人たちにとっては」
学「まあ、そんな考えも有りか?確かに無詠唱できる主人公が肺をやられて魔法が使えなくなった、ってのも有った気がするしな」
樹「そう、そしてMPはその肺の中にある魔素の量だと考えれば、ある程度納得がいく」
学「どういう事だ?魔素は空気中を漂っていて、呼吸をし続けているんだから、魔素がなくなる、MPの枯渇は無いんじゃあないか?」
樹「いや、良く考えてみて。ファイヤーボールって口にしただけで魔法は発動されないだろ?そんなんだったら、誰も魔法を教えられないし、街中でファイヤーボールを含めて様々な魔法を話すことが出来ない」
学「言われてみればそうか。でも、それとMPの枯渇がどんな関係があるんだ?」
樹「だから、体内でその魔素を反応されせ周波数に変換しているんだよ。魔法が発動するまでの順番で言えば、まず肺の中の魔素を反応させて周波数を出す準備をする、次に詠唱して周波数を出す、その後空気中の魔素がその周波数に応じて魔法として具現化する」
学「その周波数に変換する量が、呼吸で吸い込む量よりも多いからMP切れを起こす。ってことか。確かにそうかもな、だからMP切れを起こしたらあんなに疲れた感じで動けなくなっているのか」
樹「そう、周波数に変換するのにも体力を使うし、酸欠も多少はあるかもな」
学「なるほどね。確かに魔法についてある程度の説明が付いているな。当然作品によっては全然違う魔法の解釈をしているかもだけど、おおよその魔法については説明が付きそうだよな。っん?でも」
樹「どうした?」
学「空間魔法や時空魔法は説明がつかないんじゃあないかな?」
樹「確かにそう。そうなんだよ。だから初めにゲームの世界と元からあったパターンとで分けたんだよ」
学「どうゆう事?」
樹「ゲームの世界に転生したのならば、元々がゲームなので武器や防具、魔法なんかもデジタル、つまりデータとして変換されても違和感はそれほど感じないだろ?」
学「確かに。アイテムボックスなんかに実物の剣なんかをしまう時に、実物そのものをしまうのではなくて、データとしてしまう、そう考えれば確かに違和感はないし、空間魔法も元々無くてデータに変換しているだけって事か」
樹「そうなんだよ。でもそれだとゲームの世界に転生した作品以外の説明が付かないから、魔素を思いついたんだけどね」
学「じゃあ、ゲームの世界以外の作品では空間魔法や時空魔法みたいなのは存在しない。って事か?」
樹「いや、作品によってはあるし、それに実際に空間魔法のない世界だと色々と不便だろ。だから、ズルい言い方をすれば、今現在の俺達の知識では分からない、まだ解明されていない物理法則みたいなのを使っている、可能性があるって言い方も出来る」
学「なんかその言い方はズルい、っていうよりも、なんで魔法が使えるのか?そういう世界だから。みたいな感じがするな」
樹「そうなんだよ。ここいら辺は魔素だけでは説明が出来ない、新しい何かが必要になってくる。似たようなもので魔法陣や転移魔法も説明がしにくいんだよ」
学「確かにそうだな。異世界召喚なんかはほとんどゲームの世界ではないもんな」
樹「一応魔素で説明とはいかないけどある程度は説明できるけど、どちらにしても俺に物理の知識がないから、まともな説明にはならないと思う」
学「一応聞かせてくれ」
樹「俺の知っている知識の範囲内での憶測だから間違っている可能性の方が高いからな?可能性として考えられるのは、魔法陣の中に魔素を集め強力な重力を発生させて、簡単なブラックホールを作ってワームホールみたいなのを異世界や魔界みたいな世界と繋げる、ってことだけど。意味分かるか?」
学「ごめん、何言っているか分からん」
樹「まあ、そうだよな。それにこの説明だと色々と問題点もあるし、まだまだ解明されていないことの方が多いから、異世界転移や召喚に関しても今後の課題だな」
学「うん、そうだな。魔法に関しては上手く説明できても、魔法に関連する事になると中々説明が付けにくくなるな」
樹「そうなんだよ。まあ、元々がメタいことを考えているからな」
学「それは言うな。分かって話しているんだから。それで話を魔素に戻すけど、そもそもその魔素はどこから出ているのか。元素っていうくらいだから、酸素が木や植物によって作られるように、魔素も何かから作られるのか?」
樹「ああ、それは」
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